小説置き場。
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タイトル
取り替えられたこども
キャプション
■神社の息子真ちゃんと愉快な仲間たちによる少し不思議なお話。ジャンルはきっと和風オカルトファンタジー。
■自分がこれからする行動を宣言するのが宮地さんの暴言で、畳み掛けるように相手に命令する(シバくぞ除く)のが笠松先輩の暴言の吐き方のような気がする。
■宮地先輩の過去設定をどうしても書きたかった、ただそれだけの話。
■高尾ちゃんは大人になったら真ちゃんと絡んでもらいたい。
■もはや一次で書けと言われても仕方のない内容。需要とか気にしない。
■バスケしろ。
タグ
黒子のバスケ パラレル 宮地清志/緑間真太郎/赤司征十郎/花宮真
取り替えられたこども
キャプション
■神社の息子真ちゃんと愉快な仲間たちによる少し不思議なお話。ジャンルはきっと和風オカルトファンタジー。
■自分がこれからする行動を宣言するのが宮地さんの暴言で、畳み掛けるように相手に命令する(シバくぞ除く)のが笠松先輩の暴言の吐き方のような気がする。
■宮地先輩の過去設定をどうしても書きたかった、ただそれだけの話。
■高尾ちゃんは大人になったら真ちゃんと絡んでもらいたい。
■もはや一次で書けと言われても仕方のない内容。需要とか気にしない。
■バスケしろ。
タグ
黒子のバスケ パラレル 宮地清志/緑間真太郎/赤司征十郎/花宮真
ゆるーく設定!
緑間→神社の息子・中学生 チート
宮地→緑間の幼馴染み・高校生 見えるだけ 今回のメイン
赤司→緑間の友人・中学生 オカルトに興味津々。幽霊とかとは無縁な一般人。(GHのナルの念とか使えない版のイメージですん……)
花宮→緑間の拝み屋業界での兄貴分・中3or高1 陰陽師の家柄
バスケしてないよ! そしてぐだぐだだよ!
真ちゃんと宮地さんがやたらと仲良しなのは仕様だよ!
[newpage]
学校からの帰り道。久々に宮地の部活はオフで、帰宅部と同じタイミングで校門を抜けた宮地達はこのまま遊びに行くか、などと話していた。その最中に携帯電話が着信を知らせてきて、宮地は友人達に断って列を抜ける。画面に表示された“緑間真太郎”という名前に顔をしかめながら、しかし宮地は電話に出た。
「こんな時間に電話してくんじゃねーよ轢くぞ」
『すみません、宮地さん。今から××駅に向かって下さい』
開口一番、相手の都合などお構い無しに言う緑間に宮地の顔が引き攣る。
「何でだよ」
『俺の友人が霊視できる人間を探しているのですが、俺は諸用で行けないのでその手伝いをしてやってほしいんです』
「じゃなくて、何で俺が引き受けるの前提になってるんだっつーの!? お前何様!?」
『……? 確か今日は宮地さんの部活はオフだったと思うのですが……?』
宮地が断るなど万に一つもあり得ない、と緑間が考えている事がよく分かる返答である。どうして宮地が苛立っているのか微塵も理解していない。と言うか何故学校も違うのに部活の予定を把握しているんだ、と宮地は声にならないツッコミをいれる。
『……行けませんか?』
苛立って何も言えない宮地を電話越しにどう捉えたのか、僅かに寂しげな声で緑間が言う。騙されてはいけない。あの感情の変化に乏しい緑間の声が、しょんぼりしているように聞こえる時点で間違いなくわざとだ。そのくらいは緑間は軽くやってのける。何故なら、宮地はその声に弱いから。だが緑間の場合、故意ではあっても演技ではないのだ。
空いている左手で宮地は頭を掻きむしる。
「…………糞ッ、行きゃいいんだろ!? 詳細はメール寄越せ。んでもってお前は後で踏み潰す!」
言うと、宮地は返答も聞かず、乱暴に電源を切って列に戻る。わりー用事入った遊べねー、と軽く言って、宮地は電話で指示された駅へ向かった。
[newpage]
駅についた宮地の前に現れたのは、きれいな子供だった。
「宮地清志さんですか?」
真太郎の友人の赤司征十郎です、と名乗った彼は年下とは思えない大人びた所作で宮地に頭を下げた。緑間の友人にしてはまともじゃねーの、と宮地は思ったが、そもそも自分が何故呼ばれているのかを思い出してげっそりした。いたって真面目に霊視できる人間を呼びつけるだなんて、決してまともな人間の行う所業ではない。
赤司の用事、とはざっくり言うと道案内だった。行き先は宮地も知らない場所だったが、宮地のように怪異が見える人間でないと辿り着けないらしい。赤司に言われるがままに林を歩いて着いたのは純和風のお屋敷で、そこには宮地と似たり寄ったりな人々が多数集まっていた。要するに“見える”人達だ。思わずなんだこれ、と呟いた宮地に赤司が答える。
「とある陰陽師の大家が主宰している、祓い人達の懇親会です」
「祓い人……拝み屋か」
「そういうことになりますね。では僕は混ざってきますので」
宮地に軽く頭を下げて赤司が人混みの中に混じっていく。思いもよらぬ世界の一端を見てしまった宮地は、すごすごと端に引き下がっていた。宮地は所謂“見える”人ではあるが、積極的に怪異に関わることはしてこなかったし、これからもそのつもりだ。拝み屋が本当に実在していることさえ今初めて知った。明らかに場違いな高校生である宮地に、いい年をした方々の視線が突き刺さるが宮地はそれを黙殺した。
退屈だった。
そもそも待っているように、という指示も受けていない以上帰ってもいいんじゃないか? と宮地が薄情な事を考え出したところに、宮地と歳の近そうな少年が歩いてきた。着流しに羽織、という今時の男子学生にしては珍しい格好だが、動きにぎこちなさは見えない。普段から着慣れているのだろうな、と宮地が考えたところで目があった。特徴的な麿眉に目が惹かれる。
「あんた、初めて見る顔だナァ? 名前は?」
「そういうお前は?」
「オレを知らねぇのか。ホントに何しに来たんだ?」
怪異に関わる人間には、迂闊に名前を教えない方がいい、と言ったのは緑間だったか。それにしても何て自意識過剰な発言だろう、と沸点の低い宮地にしては珍しく感心した。
「何って……引率? あの赤い奴の」
「赤司の?」
麿眉が訝しげにぴくり、と跳ね上がる。まじまじと宮地を上から下まで眺めて、それから一人納得したように頷いた。ちなみに宮地は全く着いてこれていない。
「あんた、緑間の式か」
「はぁ?」
「通りで今日はいないはずだ」
「いえ、います」
突然割り込んできた涼しげな声に、宮地はぎょっとして振り向いた。いつの間にか、制服の緑間が立っている。
「緑間、お前いつの間に……?」
「今来たところですよ、宮地さん。今日はご苦労様でした」
「ご苦労、ってお前な……」
緑間の相変わらずの慇懃無礼っぷりに宮地が呆れていると、緑間が宮地の隣まで歩いてきて宮地の腰に手を回す。それから宮地を側に引き寄せると、緑間は麿眉の方を向いて一礼した。
「お久しぶりです、花宮さん」
緑間の、宮地を庇うかのような動作に、花宮と呼ばれた麿眉がニタリ、と笑う。
「あァ。変わりはないみてぇだな。だ、が……いくら式でも、大切なら余り無防備にしない方がいい。ま、分かってるから急いで来たんだろうけどなァ?」
「ご忠告、痛み入ります」
「ケッ、可愛いげのねぇ奴だ」
花宮のからかいに眉ひとつ動かさずに淡々と緑間が答えると、つまらなさげに花宮は毒付いた。それから、じゃあな、とヒラヒラと手を降りながら人混みの中へ歩いていくと、入れ替わりのように赤司が戻ってきた。
[newpage]
今日はスイカを冷やしてあるんだ、来るだろう?
そう、赤司が言って宮地は緑間と共に当然の如く赤司の家へ連行された。とは言え、赤司と緑間の会話から察するに赤司家の別邸の様ではあったが。祓い人達の会合が行われていたあの謎の屋敷へ行く時と同じように、緑間の先導のもと無造作に林の中を歩くとあっという間に赤司の別邸に着いた。やはり純和風の、だが会合会場よりはこじんまりとした、普通の広さの民家だ。客間に通された後、仕様人らしき人が切り分けられたスイカを持ってくる。宮地はさくり、とスイカに噛みついた。密が詰まっていて、甘い。いいスイカだ。宮地がスイカを味わっている隣で、緑間はナイフでスイカを切り分けていた。赤司はスプーンで種を選り分けている。
その作業をしながら、ぽつりと緑間が言った。
「さっき花宮さんが、宮地さんの事を俺の式だ、と言っていたのだが……どういうことか分かるか? 赤司」
「どうもこうも、花宮さんには真太郎が宮地さんを使役しているように見えたんだろう?」
「そんなこと俺はしていないのだよ」
「こいつが命令なんぞしてきたらその時には轢いてやる」
ほぼ同時に口を開いた二人に赤司は小さく笑う。
「でも、何らかしかの繋がりはあるんじゃないのかい? そうでないと、真太郎は自分の代わりにしたりはしないだろう?」
繋がり。そう呼べるものが宮地と緑間の間にあるのかは分からないが、宮地がよく緑間と行動を共にするきっかけと呼べる奇妙な体験はあった。不用意に他人に語らない、という暗黙の了解があるそれを話すべきか、と宮地と緑間の視線が交差する。
「少し、僕に話してみないかい?」
そう言う赤司は好奇心を隠そうともしない。お前に任せる、と宮地が言うと、緑間は頷いた。
そうして語られるのは、記憶も曖昧な程の、幼い頃の話だった。
[newpage]
緑間が初めて宮地清志と呼ばれている人間を見たのは、まだ小学校にも入学していない四歳の頃だった。年上の幼馴染みの大坪が、緑間の家の神社に友達を連れてきたのだ。そのうちの一人が宮地だったのだが、緑間は黒髪に焦茶の瞳の彼を見たときに強烈な違和感を感じた事をはっきりと覚えている。
「あの頃はまだ目に見える物が怪異かそれ以外かは判断できなかったから気付かなかったのだが、今になって思えば俺が見たのは人の形をした怪異だったな。だから俺は、見えるけどいない、と直感的に思った」
「……見える、というのは霊視能力関係無しに物理的に光を反射しているから見える、ということで、いない、というのは実際には存在していない、ということだと解釈していいんだな?」
「ああ。宮地清志という人間はそこにはいないと思ったのだよ。だから、本物の宮地清志を連れてこなければ、と俺は単純に思った」
七歳までは神の子、という言葉がある。幼い緑間は、それが故に只人では越えられないはずの異界との境界を実にあっさりと越えてしまった。そうして人間は生きられないはずの異界で、体だけが成長してしまった野生児染みた宮地を見つける事になる。
「気づけば俺は、鬱蒼とした森のようなところにいた。植物はやたらとあったが、動物の姿は見えなかった。風も無かったおかげで、極端に静かな場所だったな。宮地さんは森の中でも一際大きい木の前に、白っぽい布で両目を目隠しされた状態で座っていた。ちなみにこの時はまだ黒髪だった」
「ああ、そのときは何となく覚えているな。初めて見た人間が酷く怖かった」
「俺が見えていたんですか?」
「ああ」
「目隠しをされている間に、見えない世界に体が適応しようとしたのかもしれないね。宮地さんは、“異界”の様子を覚えているんですか?」
「いや、あまり覚えてねーよ。ただ、今でも森の中は落ち着くから、多分緑間の言う通りの森みたいなところだったんだろうな」
「なるほど」
「話を戻すぞ? あの時の宮地さんは栄養不足のせいで痩せ細っていたし言葉も話せないしで、俺はてっきり年下だと思ったのだよ。だから、宮地さんの手を引いて帰ろうとした。そうしたら、声がしたのだよ。『どこへ行く』という声がな」
かえるのだよ、と言う幼い音と、幼子が自分の手を引いて走っている光景が宮地に残っている一番古い記憶だ。
「『私の子を何処へやる』とどこからともなく声がしたが、その声の主が宮地さんの親のものだとは俺には到底思えなかったのだよ。だから『うそだ』だなんて言いながら走っていたら、今度は『その髪は、その瞳は私のものだ』だとかなんとか言ってきたのだよ。そこで面倒になった俺は『そんなものくれてやる、だからかえせ』と言ったら俺は異界から帰ってきていた。振り返って宮地さんを見ると目隠しはそのままだったが髪は綺麗に薄茶色になっていた」
「色が変わっていたのか」
「ていうか緑間、その言い方だと俺一歩間違えればハゲだった、っていうことじゃねーの? つーかなに人の髪とか目とか渡す許可出しちゃってるの? 何様?」
「ふむ」
「そ、そうしなければ帰ってこれない気がしたんです……! 文句は当時の俺に言ってください!」
「それができないから今お前に言ってんだろーが!」
「っ、話、戻しますよ!」
そのまま取り合えず緑間は家に帰ったのだが、その頃緑間の近所は大騒ぎになっていた。
「俺が家に帰った時には既に、大坪さんが宮地さんたちを連れてきた日から三日ほど過ぎていたらしい。更に俺に加えて宮地さんも行方不明になっていたらしく、警察沙汰の大騒ぎになっていた。そこに俺が謎の子供をつれてひょっこり帰ってきて、その子供こそが宮地清志だと主張しだして現場は更に混乱を極めた。とはいえ、俺の話を聞いて神隠しにでもあったのだろうとすんなり理解してくれた両親が、適当に警察を丸め込んで一件落着、となりはしたのだが」
「宮地さんはその後どうなったんですか?」
「さぁ……? しばらく病院に通って、春が来たら小学校に入学したな」
「確か宮地さんは髪と瞳以外の外見は変化していなかったため、何らかしかの事件に巻き込まれた結果、長期記憶の全てを失う記憶喪失に陥った、という解釈をされていたはずだ。さらに髪と瞳の変化は心因性のものとみなされた」
「なるほど」
[newpage]
興味深い話だった、と赤司が頷き、さくり、とスイカを一口頬張る。
「話を聞く限り、宮地さんはチェンジリングに遭った、というのが一番近いように思えるね」
「チェンジリング? なんだそれ」
「人の子を欲しがった妖精が、子供をさらって別のものと取り替えてしまうという内容の、北ヨーロッパの伝承です」
「つってもここ日本だろ?」
「ええ。ですが宮地さんが異界にいた間にもこちらには宮地清志を語る“何か”がいたわけですから神隠しとは少し違うでしょう。宮地さんはこちらで生まれて、それからチェンジリングに遭って異界に連れていかれた。それを真太郎が連れ帰ってきた。そのように思えます。“何”が宮地さんをさらったのかは分かりませんが、さらうのに十分相応しいほど宮地さんは魅力的だったのでしょう。現に、宮地さんは目隠しをした状態で真太郎が見えていた。異界への適応力はあったのではないでしょうか」
へぇー、と相槌を打ちながら宮地がスイカの種を皿に吐き出す。その隣で緑間は一人スプーンをスイカに差し込んでいた。
「宮地さんがチェンジリングに遭った、という事は理解した。だが現象に名前が付いたところで、何故宮地さんが花宮さんの目には俺の式に見えたのか、は説明がつかないのだよ」
「それについて僕が思い当たるのは、異界から戻る際に真太郎が『そんなものくれてやる、だからかえせ』と言った、というところだね。宮地さんが指摘した通り、この言い方では宮地さんの所有権を真太郎が握っているように聞こえてしまう。更にかえせ、という言い方も『もとの世界に戻せ』ではなく『自分に返却しろ』という風にも受けとれる。この言い方で帰ってこれたということは、この時点で既に宮地さんは真太郎のもの、つまりは式に下っていた、ということではないか?」
「……つまり物心ついた瞬間から俺は緑間に使われているってか?」
冗談ではない真実が明かされそうになって宮地が顔を渋い顔をする。緑間も納得はしていない様子だ。だが赤司は確信を持ったように言う。
「二人とも、よく考えてみてください」
「何をだよ」
「真太郎、君は宮地さんに一度でもお願いを断られた事があるのかい? いつも何だかんだで我儘を聞いてくれるんじゃないか?」
「……む」
「宮地さんもです。何故自分が真太郎の頼み事を引き受けたのか分からなくなることが、結構あるのではありませんか?」
「……言われてみれば」
緑間と宮地が決まり悪そうに顔を見合わせる。
「つーことは何だ? 俺は緑間の言うことには逆らえなくって? 式とかいう人間っぽくない雰囲気がするナニかってこと? 轢いていい?」
「轢かないでください」
「式、というのは花宮さんが陰陽師だから使った言い回しでしょう。真太郎は神職につく家の人間ですし……巫女、では女性ですから祝《はふり》、というところでどうでしょうか?」
くすくすと笑いながら提案する赤司に、宮地と緑間は瞬きを数回。
「宮地さん、うちの仕事手伝いますか?」
「供え物は汁粉だな」
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