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小説置き場。
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携帯のメールで送れる最大文字量に挑戦!
というわけで5000字弱です。

解説兼後書
※FEに名前が出てくるナギ・椎奈は夢主です。オリキャラです。設定はまた別の記事で。
・人間と精霊と悪魔のいる話
 いつぞやの夢から派生した設定なのですが。
 精霊は本能的に人間の誰か(特定の人物)に仕えることになっていて、特にそれに対して疑問も持っていなかったんだけど実はそれは大昔に人間に強制されたからで、それを知っている悪魔達が精霊開放のために人間と敵対している、という関係。
 サリィが周囲から孤立している人間で、ナナがそれに仕える純真な精霊で、リカルドがナナと仲の良かったひねくれた悪魔、という設定です、はい。
・なんか短文。
・FE1
 ナギが誰かに喋ってます。独白は一応セネリオのつもりだった。
 ナギとエリンシアに接点を持たせる設定はなくなるかもしれない。うん。
・FE2
 ナギちゃん独白。相手が誰かはわかるよねぇ……
・オリジ・異世界設定で文明崩壊を引き起こした人
 いつぞやのイノセンスサントラで~~ のときのイメージで書いてます、はい。
・FE3
 椎奈とトパック。古代語の設定は適当です。現在話されている古代語がどちらにあたるのかは不明。
・FE4
 アズサってのはシーナのことです。このときはまだ名前考えてなかったから。
・FE5
 ナギでリュシオン夢。結局ナギは鴉に付くことを決めました。
・FE6
 ネサラとリュシオンとナギで雑談。+後日談
・FE7
 トパックとムワリム。家庭科の授業中に妄想してましたすみません

おわり


「どうしてなの、ナナ」
「だって、そりゃあ人間が悪いのかもしれないよ。でも、皆が皆そうじゃない」
「少なくてもサリィはそうだ、って? 主を得た精霊は皆そう言う。そいつらが過去にしたことを忘れてのうのうと生きてることが問題なんじゃないの?」
「でも、でもっ、サリィはそんなこと言わなかったよ!」
「はぁ……これだから精霊って奴は……。もういいよ、僕たちの理想に共感できないなら無理に参加しなくていいから」
「違うっ! そうじゃない!」
「じゃあ何だって言うのさ」
「それ、は……」
「僕たちに対して明確な敵対行動をとらない限り、精霊を害することはないから。おとなしくサリィのところに行きな」

  *

「あのね、サリィ……」
「ん、どうかした? ナナ」
「えっと、あの、その……」
「……」
「来て、ほしい、ところがあるの……」
「わかった。ナナが連れて行ってくれるの?」
「あ、うん……」
「それじゃ、行くわよ」

  *

「ってここ、あたしを襲ってきた悪魔達のたまり場?」
「あ……その……」
「どういうこと、ナナ」
「リカルドがいるってことは、やっぱりそうね。それで、あたしは何をすればいいの?」
「リカルドくんたちに……怒らないでほしいの……」
「そりゃまた、なんで?」
「何にも言わないで、サリィを傷付けようとするのは間違ってる。でも、リカルドくんたちの話も聞いてほしいの」
「まぁ、あんたがそれを望むなら別に構わないけど。
 でも話をする気もない奴らからわざわざ聞き出したりはしないわよ?」
「お願い、リカルドくん」
「はぁ……これで断ったらこっちが悪者なわけね」
「元からでしょ」
「ナナの意向を無視する気?
 いいよ、こっちにおいで」


******

――あたしが死んだら、早くあたしのことなんか忘れて幸せになって。でも、あたしが死ぬまではずっと傍にいて。
 死に際の彼女の言葉が蘇る。そう言って間もなく彼女は眠りについた。忘れるなんて、できなかった。

 今でも彼女がいないことに愕然とすることがある。違う子と歩いていて彼女の名を口走ってしまうことがある。

 そんな自分を、そのまま愛してくれる子がいる。
 もう、前に進むべきなのだろうか?

******

「あたしは本当に幸せだと思ってる。お父さんもお母さんも、あたしを愛してくれた。住んでいた村の人たちも、あたしのことを知った上で受け入れてくれた。そんなところで育ったからあたしはずっと前を向いていられるんだと思う」
「エリンシアは歳のだいぶ離れた妹みたいなもの。大事にするのは当然だと思うけど」
「そりゃまぁ、今までに嫌なことはたくさんあった。ラグズの血を引いてるってわかった途端に掌を返されたり、あたしの存在すら認めてくれなかったりしてね。でもみんながみんなそうじゃないことをあたしは知ってる。あたしを長い間受け入れてくれた村は、デインの村だったのよ?」
 そう言い切れるまでに、彼女はどれだけの傷を負ったのだろう。そのしなやかな強さが羨ましかった。

******

 逢いたい。逢ってこの目でその姿を確かめたい。彼の口から一言大丈夫だと聞きたい。尤も、彼がそう言うときは強がっているときがほとんどだったのだけど。
 でも、どんな顔で逢えるというのだろう。セリノスの森を焼いた、あのベオクの血が自分にも流れているというのに。

******

「天使、ねぇ……」
 多少陽の気が強いだけでそれか。実際はこんなにも傲慢で、自己中心的だというのに。
 複雑に組まれた印を一つ一つ解除していく。ようやく最後の封印の姿が見えてきた。
「これで、世界は救われるってか」
 こうやって、数え切れないほどの人間を殺して。
「世界再生、ねぇ」
 このまま放っておいたら世界が滅ぶというのなら、いっそ放っておいた方がいい。それがこの世界の辿る運命だったのだろうに。
 こうやって意図的に寿命を延ばすこと、それ自体が既に世界を歪めていることに何故気付けないのだろう。でも。
「許せよ、人間」
 俺は世界のためなどではなく、自分のためにお前達を滅ぼす。

  *

「つまり、だ。下を滅ぼすにはこっちも誰かが死ななきゃならんというわけだ」
「我等は滅ぼすのではない。再生するのだ」
「どっちでも一緒だろ。で、まぁ当然だが誰も死にたくはないわな。でも外部の奴らに任せるにはこれは機密事項すぎる、と。要するに俺らの中の誰かが死ななきゃならんわけだな」
「……あれならば、達成できたというのにな」
「流衣は端からこの計画に反対だった。もし裏切ってなくてもあいつに任せることはできんだろ」
「それはお前もだろう?」
「何を。俺には絶対にこの計画を成功させたい理由がある。裏切ったりなどしないさ」
「その言葉のどこが信用できる」
「ま、別に信じて貰わなくてもいいんだけどな。だがそうするとお前らが信じている誰かを殺さなきゃなんねぇ。言い換えると自分に死んでもらおうと思っている人間がこの中にいるかもしれないってことだ。果たしてそんな奴を信じられるのか?」
「……まるでお前が行くという口ぶりだな」
「その通り。反対意見は?」
「………………」
「なさそうだな。じゃ、決定でいいか?」
「とりあえずのところはな。万が一お前に不審な動きがみられた場合、すぐに取り消す」
「了解っと」

******

「ねえトパック、これってどういう意味?」
「ん? ってねーちゃん何勝手に読んでるんだよ!? それおいらもまだ読んでないのに!」
「え、そうだったの? まぁいいじゃない、減るもんでもないし」
「減る!」
「何が?」
「……っ、何かが!」
「そりゃあんたの勘違いよ、トパック。で、何これ? 発音はこれだと思うけど……」
「あれ、ねーちゃん古代語誰に習ったんだ?」
「セネリオだけど。どうかした?」
「ねーちゃんの発音だと古代語の中でもラグズが話してた方になるから。そっちを使える魔導師は珍しいんだ」
「へぇー。んじゃトパックはベオクの方なの?」
「うん。ベオクじゃあこれは……っていう発音で……」
「結局は意味はわかんないのね」
「これくらい調べればすぐにわかるって!」
「どこでどうやって調べるってのよ。丁度いいじゃない。セネリオ大先生に質問に行きましょ」
「えー、おいらあのきれーなにーちゃん苦手……」
「確かに愛想は悪いけど悪い人じゃないって。あんたらしくないよ、トパック」

******

「アズサは……」
「留守番?」
「アイク。一人でここに残しておくよりも連れて行った方が安全だと思いますが」
「そう、だな。あんたも来てくれ、アズサ」
「わかった。なるべく邪魔にはならないようにするね」
「俺達も自分のことで精一杯になると思う。あんたを危険に曝したくはないが……」
「大丈夫。自分の身くらい自分で守るわよ」
「くれぐれも、前線には近付かないで下さいね」
「ふふっ、わかった」
「? どうかしたのか?」
「なんでもない」

 珍しく心配してくれるから嬉しくなった、だなんて口に出すとたちまち不機嫌になるだろうから。

******

「……っ! リュシ、オン」
「どうしてお前がここにいる?」
 彼には珍しく感情の全く感じられない声だった。それだけ深い傷を私達は与えてしまったのだ。だけど、謝ってはいけない。それが彼らに対する礼儀だ。私達以外が苦しんではいけない。

「少し考えたらわかるでしょう?」

 嫌な言い方だ、と思った。彼にこんな突き放したようなことは言いたくない、だけど言って自分をごまかさないと、絶対に知られてはいけないことを悟られてしまいそうだ。

「ナギ、……」

 心の表層の動揺は伝わってしまったらしい。こうやって鷺はすぐに余計な他人の苦しみを自分の苦しみにもしてしまう。その哀しさに私は惹かれたのだけど。
 強く、この翼の無い身を抱きしめられる。

「どうしても、言えないのか」

 震える声が、強張った腕が彼の想いを伝えていた。ほんの少しの間だけそれに甘えて、彼の体を引き離す。その質問には、答えられないから。

「早く行け。……ティバーンには伝えないから」
「鷺が嘘を言ったらいけないよ」

 それは今のことなのか、未来のことなのか。どちらにしても私の為に彼に嘘を言わせることに違いはなかった。


 あなたに嘘をついてしまってごめんなさい。
 あなたを苦しませてしまってごめんなさい。

 でも何よりも、

 あなたよりも鴉を選んでしまってごめんなさい。


 私がこう思っていることも、きっと彼は知っている。


******

「で、なんで森の中にいなかったんだ?」
「言わなきゃいけないの?」
「鷺の前で隠し事は無意味だぞ。鷺ってのは他人の心が見えるんだ。知ってたか?」
「見ようとしたら見れる、だ。普段は他人の心を覗いたりはしない。それが礼儀だ」
「だ、そうだが」
「……あの森は、綺麗すぎたから。私なんかがいていいのかな、って考えるとどうも居てられなくて……」
「なるほどな。確かに俺も考え無しだったかもしれん」
「セリノスは、居心地が悪かったか?」
「ごめんなさい。あの森は鷺の皆さんの誇りなんですよね。それに対して随分と酷い事を言ってます」
「……」
「確かにあの森は……正の気が強いからな」
「混ざりものは女神に背く大罪だからね……だったら生まれないようにすればよかったのに」
「こら、ナギ」
「別にこれは自虐じゃないって。批判よ、批判」

  *

「森がおまえを受け入れなくとも、私がおまえを受け入れる。
 改めて――ようこそ、セリノスへ」
「…………」
「……ナギ?」
「不思議。リュシオンがそう言っただけで、急に森がただの森になった感じ。案内、お願いしていい?」
「もちろん」

  *

「そっか、心が読めるのか……おちおち失礼なことも考えてられないってわけね」
「ほう……いつも何を考えてるんだ、お前は?」
「そうね……例えば、最近ネサラがニアルチに似てきたとか……って痛っ! 何するのよネサラ!」
「お前常日頃からそんな下らないことばっかり考えてたのか!」

******

「なぁムワリム……寝てくれよ。頼むからさ」
「いえ……私は大丈夫ですから」
「んなわけないって! お前そんなこと言ってここ数日ずっと寝てないじゃないか! 見張りはおいらがするから、な?」
「坊ちゃんがそんなことをする必要はありません」
「そんなことない!」
「坊ちゃん……」
「なあムワリム、おいらの前じゃあ眠れないか? それだったら少し離れてるから……」
「坊ちゃんのせいではないんです。私がただ、人の気配がすると眠れないだけですから」
「それじゃやっぱりおいら離れたほうがいいじゃないか」
「危ないですからやめてください」
「それじゃあムワリム眠れないだろう!? このままだったらお前倒れちまうぞ!」
「……わかりました。今日はなるべく寝るようにします。だからお願いですから、坊ちゃんは離れたりしないで下さいね」
「いいのか?」
「私が眠ってる間に坊ちゃんに何かあったらと思うとそっちの方が眠れません」
「わかった。それじゃおいらがムワリムを寝かしつけてやるよ」


 眠るということは一時的に無防備になること。だから安心できる場所でないと眠れないんだそうな。
 イメージとしてはトパックとムワリムは家を出た直後でお互いにお互いのことを手探りで理解しようとしている感じ。
 この後はトパックが体叩いてあげたり子守唄歌ってあげたりして数時間後にようやくムワリムは眠りました。

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