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小説置き場。
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 さく、さく、さく。

 一面の銀世界の中、彼の背中だけがぽつんと色を残してる。

 さく、さく、さく。

 傘の意味はあまりない。ぱらぱらと雪が傘に叩き付けられる音と、わたしたちの足音だけが聞こえる。

「ねぇ、どこに行くの、シルバー」

 しん、と雪に吸い込まれてしまったわたしの声に彼が足を止める。
 ぱらぱらという音だけが聞こえる。
 枝に積もった雪が雪崩をうって落ちた。
 その影に、微かに彼の声。

「え?」

「……行くぞ」

 さく、さく、と彼が歩く音。
 ぱらぱらとわたしの傘で雪が踊る音。
 ざっ、ざっ、ざっ、と私が走る音。

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