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小説置き場。
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・金(+銀) 特殊パロ

 すんでのところでストライクのしつこい"れんぞくぎり"をかわしたゴールドの目に入ったのは、赤銅色の長い毛だった。見たこともない姿にとある人型ポケモンの色違いかと思ったゴールドだったが、次の瞬間にはそのポケモンの銀色の瞳と目が合って自分の間違いを悟った。あれは、人間だ。
 ……って、人間!?
 巻き込んだ、という危機感がつのったがもはや後の祭り。とりあえず逃げろとだけ伝えようとゴールドは息を吸い込み、そのまま息を詰めた。真っ正面に、スピアーの群れ。後ろからは、ストライク。左右に逃れようとも追い付かれるのは目に見えている。逡巡は一瞬だった。
「頼むぜ、新しい相棒よ……!」
 己の得物であるキューの固定を解除しながら、ゴールドは内なる電気エネルギーに意識を寄せる。つい最近宿したばかりの彼の力を実戦で借りるのはこれが初めてだ。少しばかり体が帯電してきたのがわかる。狙いは目の前のスピアーの群れ。全員は無理でも、複数匹の行動の自由を奪えればゴールドにはそれで十分だ。対集団で相手を引っ掻き回すのがゴールドの最も得意とする戦い方なのだから。
「痺れちまいなっ!」
 広範囲に拡散させた"でんじは"を放ち、ゴールドはスピアーの群れに突っ込んだ。


 数を数えるのも嫌になるほどいた群れを通り抜けた。追いつかれる前に、先に進まなければ。
 ゴールドは憑依させているピチューに意識を少しだけ譲り、ポケモンが本能的に持っている優れた気配探査能力を借りることにした。思考力というか理性というか、そういったものと引き換えに急速に世界の存在感が増していく。足元の草が、聳え立つ木が、生きているのだとゴールドに雄弁に語りかけてくる。押しつぶされそうなほどの命、いのち。己の矮小さを知らしめるこの瞬間が、理屈抜きで自分が生かされていることを感じさせるこの瞬間が、ゴールドは嫌いではなかった。だが今回は特に激しい。この能力の強さはピチューのか弱さが理由なのだろう。その弱さゆえの本能が、やはりまだ自分の置かれた状況に警告を発していた。うるさいほどに自己主張する命達からポケモンのものだけを慎重にかつ素早く選り分け、ゴールドは進路を決めた。できるだけポケモンがいない方へ。
 そうして進行方向から少し曲がったゴールドだったが、まもなく足が地面に縫い付けられた。
――次から次へとっ!
 慣性に従ってバランスを崩す体にイラつきながらも直前に感じた技の気配の方に電撃を放つ。ピチューに意識を譲った分の反射的な、本能的な行動だった。だがすぐに手応えの無さで相手に届かなかったことを悟り、舌打ちをしながらキューを地面に突き刺す。足が動かなくなった原因は、氷だ。地面から生えた氷がゴールドの足をしっかりと覆っている。辛うじて地面と仲良くなることは避けられたゴールドの耳に、ずいぶん久しぶりな響きが聞こえた。
「そっちは崖だ」
 声、である。声によって『言葉』がゴールドに伝えられている。意味のある音の羅列だ。もちろんポケモンだって意味のある鳴き声を出す。だが、ポケモンは言葉は話せない。音を聞いて、音の繋がりの意味を理解する。それだけのことが、ゴールドには随分と久しぶりだった。最後に人間と会ったのはいつだったか。人嫌いのはずなのに、人間に出会えて喜びを感じている自分がいる。でも、ゴールドは人間が嫌いなはずだった。

 *
 微妙に存在している第三者がシルバー。ゴールドの足を縫いとめたのもシルバー。

・紅+藍 特殊パロ

「……ビールビールビールビー!!」
 僕はビールじゃない、と思った瞬間にルビーは自分が起きていることに気付いた。うっすらと目を開けるが、開けたところで見えるものは何も変わらない。まだ辺りは真っ暗だ。
 サファイアの朝は、とにかく早い。町を出てから日の出頃に起きるようにしたルビーだったが、サファイアの起床は太陽が地平線から顔を出すのよりも早い。普通ならまだ真っ暗で何も見えないくらいなのだが、サファイアは夜目が利きすぎるらしい。月明かりすら彼女には不要で、星明りだけで彼女は周辺のものを視認できた。それと人間とは思えないほどの聴覚と嗅覚が暗闇での行動を可能にしているようだ。それほど闇に強いのなら未明じゃなくて日没後に行動したっていいだろうにとは常々ルビーが思っていることで、元が夜型の人間だっただけに少し彼女が恨めしい。
 サファイアが起きている、という理由で現在時刻を日の出直前としたルビーはとりあえず明かりを確保するためにヒトカゲを喚び出した。ヒトカゲは急にルビーの中から出されて目が覚めたようだったが、緊急の用ではないとわかると欠伸をして丸まって眠りだした。尾の先の炎が目当てだったのでルビーは好きなようにさせておく。
 突然光源が増えたサファイアはヒトカゲの尾の弱い炎でも目を焼かれたようで、目の前に腕を翳している。
「おはよう、サファイア」
「お、おはよう……ってそんな場合じゃなか!」
「どうしたの、わざわざ僕を起こして」
 言外に「まだ寝たいんだけど」の意を含ませてルビーが軽くサファイアを睨むと、サファイアはう、と言葉に詰まりかけ、それから首をぶんぶんと横に振った。朝から元気なものである。
「ちゃもがボールに戻らんとよ!」
「ああ……それね」
「何か知ってると?」
 サファイアがちゃもと名づけたアチャモを抱えてルビーを覗き込む。ルビーはサファイアにぶつからないように気をつけて体を起こした。正直、まだ眠い。
「結論から言うと、キミのアチャモはもうそれに入ることはないだろうね」
 それ、と言いながらサファイアの手の中の紅白球を指差す。
「なして?」
「話は朝ご飯でも食べながら。キミのせいでこんなに早く目が覚めちゃったじゃないか」

 *
 やまなしおちなしいみなし。ルビーくんひねくれすぎです。これでも11歳。
 設定解説はルビーがやればいいんだということに気付いた。

・金→銀かつ金←銀(無自覚) 学パロ

設定 シルバー→組長(サカキ)の子供 兄さん達→HGSSのロケット団幹部陣。サカキの舎弟であってシルバーと血縁関係はない。 ゴールド→昔荒れてたころにサカキ達にお世話になった クリス→ゴールドの幼馴染でゴーシルクリは同級生。シルバーの家のことは知らない。 お正月頃の話。

『ゴールド』
「おっすシルちゃん、あけおめー」
『ああ。で、今すぐ父さんと兄さん達に挨拶回りに来てほしい。お前今日は暇らしいな?』
「そうだけど、誰情報だよそれ!」
『クリスだ。それで、どれくらいで来れる。出来れば早い方がありがたいんだが……』
「……ちょっと急すぎんじゃねーの。お前ん家てただでさえ、アレなのに」
『……そうだったな。すまない、ゴールド』
「で、どうしたんだよ? らしくなく焦ってるけど」
『父さんが急にお前を呼べと言い出した』
「…………サカキさんがですか」
『ああ。そしたら兄さん達もお前の顔が見たいと言い出してな……オレの話を聞かない人たちなのはわかってるだろう。無理だとなればお前の家まで車で迎えに行きかねん』
「迎えにじゃなくて誘拐だよなそれ」
『言いたいことはよくわかるが、とりあえず来てくれないか。頼む、ゴールド』
「シルちゃんに頼む、って言われたらなぁ。いいぜ、行くよ。暇だったしな」
『恩に着る。それじゃあ、あんまり派手な格好は控えてくれよ』
「わーってるて。流石にあの人たちの前だとなぁ……っと、んじゃ出かける前に電話する。じゃあな」
『ああ、待ってる』

「待ってる、ってシルちゃん……不意打ちすぎだろ」

 *
 シルバーは実は純和風のお屋敷に住んでます。ゴールドが家を訪ねたらシルバーが和服を着てる、という展開にしたかった……! 和服超萌える

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