小説置き場。
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グリーンが生まれるよりも前、シチユウ地方と呼ばれるこの地方では人間とポケモンが戦争をしていたらしい。冗談みたいな話だ。人間が、どうしてポケモンに敵うというのだろう。だが当時は不思議なことに両者の力はほとんど差がなかったという。そして、人間が負けた。
これが、グリーンが知っている生まれるよりも前の出来事の全てだ。あの町で知ることができるのは本当に僅かなことで、いつか自分はそれに耐えられなくなるのだろうと子供ながらに思っていた。いつか、町を出て、都市に行こうと思っていた。
あれほど早く実行することになるとは思わなかったが。
*
「ママも、パパも、友達も、みーんな死んだわ。あいつらのせいで! だから私はポケモンが大っ嫌いなのよ!」
「だが独りで生きるのはあまりにも辛すぎた。だからお前は、ポケモンの前に『野生の』という言葉を足すのだろう? そうすれば、お前を慰めてくれるやつらだけは憎まずに済むから」
「……っ、あんたなんかに、私の何が分かるっていうのよ!」
「俺は思ったことを言ってるだけだ。尤も、それをどう受け取るかはお前次第だがな」
「最っ低! もうどっかに行って!」
「それはできない相談だな。俺はここに残された資料に興味がある」
「アタシはあんたの顔も見たくないわ!」
「じゃあ顔より下を見るように精々努力するんだな」
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