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小説置き場。
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 戻ってきたゴールドを見るなり、シルバーは珍しく驚いた顔をした。
「何もしてこなかったのか?」
「……なんで見た瞬間にそれがわかるんだよ」
「身体の接触は魔術的な繋がりを生む。お前の魔力はオレ由来のものだから、どのくらい姉さんの魔力と混ざっているのかは見ればわかる」
「そうかよ。で、なんでそんなに驚いてんだお前は!」
「姉さんは多飲体質だと言っただろう。多飲すなわち多淫。繁殖能力の低いオレ達は総じて性的な行為を楽しむ傾向にある。当然、貞操観念もお前たち人間より弱い。姉さんの事だからとりあえずお前を誘うだろうと思っていたんだが……」
「誘うなんて生易しいもんじゃないぞあれは! 俺は襲われた! めちゃくちゃ怖かったんだからな!」
 必死になって訴えるゴールドにシルバーがくつくつと笑う。ぽんぽん、とゴールドの頭を撫でる。
「それはよくやったな」

 *

 くらくらする。気持ち良い。そして、熱い。体中の熱が解放を求めて暴れ回っている。必要なのは、もっと強い、直接的な快感だ。
 足りない。もっと、もっと。
 体を相手の方に起こす。触れる場所を探して顔を寄せると、相手の笑いが深くなった。唇に噛み付く。舌を差し入れ咥内を蹂躙して、そして、気づいた。相手を突き飛ばす。だらし無く濡れた唇を腕で拭うが、口の中に残った嫌悪感は消えない。
「ちがう」
「あら、何が違うの?」
「あんた、シルバーじゃ、ない」
 ブルーがくすりと笑った。愚かな人間を嘲るように、耳朶を甘噛みしながら言葉を落とす。
「今更それが何だって言うの? あの子だって、あなたをここに送り出した時点で分かってるわ」
 ブルーがゴールドの局部を服越しに撫でる。
「強がらなくていいの。あなた、限界でしょう? 私はあなたよりも絶対的な強者。逆らえないのは当然だわ」
「……違う」
「何が?」
「あいつの事はどうだっていいんだ。俺が、だめなんだ」
 ごめん、ブルーさん。ぽつりと零したゴールドに、ブルーが気配を変える。
「好きな子じゃないと抱けない、と。あんた思ってたよりも真面目ねー、ゴールド」
「失礼な事言ってすみません」
「いつまで畏まってんのよ。あんたすみませんってガラじゃないでしょ。いっつも悪ぃ! くらいのノリなのに」
「だってブルーさんめちゃめちゃ怖かったじゃないっスか!」
「当たり前よ、怖がらせたんだから。ま、それでも我慢した辺り我が弟もいいカモ捕まえたんじゃない? 味は微妙だったけど」
「……あれだけ飲んで微妙っスか」
「うーん、まずくは無かったんだけどねぇ。極上! って感じじゃあ無かったわね。あんた若すぎるわ」
 言いながらブルーがゴールドの服を整えていく。
「よーし終わりっ! どうする? ゴールド。少し休んでから行く?」
「もうおいとまさせてもらっていいっスか……」
「分かったわ」
 ブルーがぱちん、と指を鳴らす。音もなく壁に現れた扉をゴールドはくぐっていった。

 *

「ゴールド。飲んでおけ」
 そう言ってシルバーがゴールドに差し出したのは、
「何だこれ?」
「増血剤だ」
「何で?」
「姉さんは一回の吸血量が多い。貧血になるぞ」

 *

「ゴールド」
 そう俺の名前を呼んで、シルバーは貪るように俺の唇に噛み付く。銀の瞳に透けて見える激情にも、息の仕方を忘れそうな激しいキスの意味にも、俺はちゃんと気付いてるよ。
「シルバー」
 だからキスの合間に一つだけ、俺の意識がはっきりしている間にどうしても伝えたい事があって。無理矢理に音にしたら随分と吐息混じりの、弱々しい声になった。
「俺も、あいしてる」
 今度は俺からキスをして、でもやっぱり咥内にシルバーは侵入してきて、舌を絡め取られてさっきよりももっと深いキスになって。今度は素直にシルバーに身を任せた。
 なぁ、まだまだ全然足りないよ。だからさぁ、シルバー。

 もっともっと、俺を愛して?

 *

「これでお前はオレ無しでは生きられない」
「みたいだな。でも、お前もだろ?」
「ああ」
「んじゃお互い様だなー。とりあえず、飽きるまで一緒にいよう。飽きたらグリーンさんみたいにちょっと出ていって、寂しくなったら帰ってくる」
「姉さん達は昔からああだぞ」
「知ってる」
「離れている間にオレが眷属を増やしていたら?」
「そうなる前には帰ってくるって!」

 *

「サファイア! 大丈夫だった? 何もされてない?」
「ルビーはいちいち大袈裟ったい。あれ、ラルドは?」
「あ。……置いてきちゃった」
「機嫌悪なっとっても知らんよ、あたし」

 *

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