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どうしても、僕は知りたかった。
何のために彼が生まれたのか。
何のために僕は使われたのか。
どうして僕らは捨てられたのか。
それを知るためには、僕はもう一度彼に会わなくてはいけなかった。
僕と同じ実験を受けて、ただ一人生き残った――ルーク・フォン・ファブレに。
「初めまして。この度、アクゼリュスへの道中に同行させていただくことになりました、キムラスカ王立学問所付属研究所第17研究室所属のハイト・フローレンスです。皆様のお手を煩わせることになるとは思いますが、どうかよろしくお願いします」
なんとか噛まずに言い切ることができて、ハイトはほっとした。こうした堅苦しい言葉遣いにはどうにも慣れない。
「こちらこそ、よろしくね。私は信託の騎士団情報部所属のティア・グランツよ」
そう言ったのは栗色のロングヘアの少女だ。年はそうハイトと変わらなさそうな印象を受けるが、それよりも男の性としてついその豊かな胸に目がいきそうになる。いけないいけない、と目を逸らしてグラマラスな美人さんがティアさん、と頭の中で何度か繰り返す。多分、忘れることはないだろう。ただでさえ女性の比率が少ない研究所には彼女ほどの持ち主はいない。
「私はマルクト帝国軍第三師団所属のジェイド・カーティス大佐です」
ティアの隣に立っていた、長身痩躯のマルクト軍人はそう言って微笑んだ。若い女性の隣に立ってもなんら引けを取らない男としては悲しいくらいの美人さんだが、『ここは微笑むのが礼儀なので微笑みました』感が溢れる笑みを浮かべていてはそれも目立たない。確か彼はマルクト皇帝の名代として敵地であるキムラスカまでやってきた人間である。きっと優秀な軍人さんなんだろう、と胡散臭い笑みを見ながら納得した。
と。
「ジェイド・カーティス……?」
「私の名が、どうかしましたか?」
聞いたことがある名前のような気がしたが、特に思い出せないので何でもありません、と首を振った。
「俺はガイ・セシル。ルーク――様の専属使用人兼護衛だ。よろしくな」
最後の一人は人当たりのよさそうな好青年だった。爽やかに笑いかけられて、ついハイトも笑い返す。流石は王族の専属使用人なのか、身のこなしも自然と洗練されているように見える。同行したいと申し出たのは自分だが、彼がいるのなら人間関係もそんなに心配しなくても大丈夫そうだ、とハイトは少し安心した。