小説置き場。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
小説というよりは設定なんだが……。
*
明らかに、違う。
前は既にルーク達がライガクイーンと交戦状態に入っていた。アリエッタとの確執を防ぐ為に彼は極力急いだが、それだけでこうも展開が変わるとは思えなかった。前では自分が到着する前にあの二人は去っていたのだろうか? とても、そうとは思えない。
二人のうちの片方は現在自分と行動をともにしている。だとするならば、前の時も行動をともにしていて然るべきだったろう。そしてもう一人――ヴェント。この二度目が始まったときに唐突に記憶に現れた彼は、確実に、前には存在していなかった。真紅の瞳は譜眼の証であり、発話能力に障害を持ちながらも詠唱破棄で譜術を発動する鬼才。そんな人物が、ダアトにいるとは前では聞いたこともなかった。ましてや、六神将シンクの副官だなんて言わずもがな、だ。
既にこの世界とは前とはずれ始めている。ライガクイーンを倒さなかったことで、これからの展開は少しずつ変わっていくはずだ。そして確実に鍵を握っているのは、今のんびりとルーク達と話しているこの少年に違いなかった。
「っていうわけで、俺記憶喪失なんだよ」
「本当かよ。そうは見えねーけど」
「本当だって。こう見えて俺結構参ってるんだってば」
「どこがだよ。大体記憶喪失になってから二週間で何で喋れて歩けるんだ」
「はぁ? 別に普通だろ、そんなの。歩き方や喋り方まで忘れる重度の記憶喪失なんてそうそうならないって」
「……そうなのか?」
「そう、だと思いますよ。どうしましたか、ルーク」
「んじゃなんだって俺はそんなめんどくさい記憶喪失になってんだよああもう信じらんねぇ!」
「へぇ、お前も記憶喪失なんだ。お前こそそうは見えなくないか?」
「俺は十歳以前の記憶がごっそり抜けてるんだよ。もうこの状態で七年も生きてるんだからこんなもんだろ」
「っつーことはお前、記憶喪失の度合いから推測するにほぼ7歳児?」
「な ん だ と ! ?」
「あーいや悪い悪い。別に馬鹿にしてるわけじゃなくてだな」
「そういう言い方を馬鹿にしてるって言うんだよ!」
「そうやってムキになるところが17歳と言うよりは7歳児っぽいよな」
「なっ……」
「あの、少し言いすぎではないですか? 僕はルークのそういうところ、好きですけど」
「だってさルーク。よかったな」
「てめぇ後で覚えてろよ……」
「別に後回しにしなくてもよくないか?」
「もう、いい加減にしなさい! あなた達は静かに歩くことも出来ないの!?」
「……すみません、ティア」
「イオン様はいいんですよ。……私は二人に言ったのだけれど?」
「差別はんたーい!」
「あなたねぇ……」
「てか別に静かに歩かなくてもいいじゃん、こんな森の中」
「魔物の生息地で大声を出すなんて、襲ってくださいと言ってるようなものよ?」
「チーグルが生息できて、しかも生態系ピラミッドの頂点にいたライガがいなくなったんだからそう危険でもないだろ」
「でも警戒はするに越したことはないわ」
「……結構まじめちゃんだな、お前」
*
明らかに、違う。
前は既にルーク達がライガクイーンと交戦状態に入っていた。アリエッタとの確執を防ぐ為に彼は極力急いだが、それだけでこうも展開が変わるとは思えなかった。前では自分が到着する前にあの二人は去っていたのだろうか? とても、そうとは思えない。
二人のうちの片方は現在自分と行動をともにしている。だとするならば、前の時も行動をともにしていて然るべきだったろう。そしてもう一人――ヴェント。この二度目が始まったときに唐突に記憶に現れた彼は、確実に、前には存在していなかった。真紅の瞳は譜眼の証であり、発話能力に障害を持ちながらも詠唱破棄で譜術を発動する鬼才。そんな人物が、ダアトにいるとは前では聞いたこともなかった。ましてや、六神将シンクの副官だなんて言わずもがな、だ。
既にこの世界とは前とはずれ始めている。ライガクイーンを倒さなかったことで、これからの展開は少しずつ変わっていくはずだ。そして確実に鍵を握っているのは、今のんびりとルーク達と話しているこの少年に違いなかった。
「っていうわけで、俺記憶喪失なんだよ」
「本当かよ。そうは見えねーけど」
「本当だって。こう見えて俺結構参ってるんだってば」
「どこがだよ。大体記憶喪失になってから二週間で何で喋れて歩けるんだ」
「はぁ? 別に普通だろ、そんなの。歩き方や喋り方まで忘れる重度の記憶喪失なんてそうそうならないって」
「……そうなのか?」
「そう、だと思いますよ。どうしましたか、ルーク」
「んじゃなんだって俺はそんなめんどくさい記憶喪失になってんだよああもう信じらんねぇ!」
「へぇ、お前も記憶喪失なんだ。お前こそそうは見えなくないか?」
「俺は十歳以前の記憶がごっそり抜けてるんだよ。もうこの状態で七年も生きてるんだからこんなもんだろ」
「っつーことはお前、記憶喪失の度合いから推測するにほぼ7歳児?」
「な ん だ と ! ?」
「あーいや悪い悪い。別に馬鹿にしてるわけじゃなくてだな」
「そういう言い方を馬鹿にしてるって言うんだよ!」
「そうやってムキになるところが17歳と言うよりは7歳児っぽいよな」
「なっ……」
「あの、少し言いすぎではないですか? 僕はルークのそういうところ、好きですけど」
「だってさルーク。よかったな」
「てめぇ後で覚えてろよ……」
「別に後回しにしなくてもよくないか?」
「もう、いい加減にしなさい! あなた達は静かに歩くことも出来ないの!?」
「……すみません、ティア」
「イオン様はいいんですよ。……私は二人に言ったのだけれど?」
「差別はんたーい!」
「あなたねぇ……」
「てか別に静かに歩かなくてもいいじゃん、こんな森の中」
「魔物の生息地で大声を出すなんて、襲ってくださいと言ってるようなものよ?」
「チーグルが生息できて、しかも生態系ピラミッドの頂点にいたライガがいなくなったんだからそう危険でもないだろ」
「でも警戒はするに越したことはないわ」
「……結構まじめちゃんだな、お前」
PR
カテゴリー
プロフィール
HN:
天樹 紫苑
性別:
非公開
カウンター
解析