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小説置き場。
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TOA
TOD(2)夢のパラレル設定。
TOD2後に夢主(男)とリオンがあちこちのテイルズ世界にトリップする設定。
まずはシンフォに飛んで、その次という設定(だが実際は作品が出た順にするかも
どっちかというとルーク至上。そしてリオンの影が薄い。すまん。



 目を開けた。一面に見えたクリーム色は光に満ちた優しい色だ。視界の端に豪華なシャンデリアを見つけて、彼の寝ぼけた頭はようやく自分の見ているものが天上だと理解した。のっそりと彼は上体を起こした。力が上手く入らない――否、体がとにかく重い。肌で感じる空気は、今までの暖かく包み込むような感覚のするもの(確かその原因は『マナ』というものが存在するからだと聞いていた)でも、故郷のものでもない。一言で表現するならば、常に振動しているとでもいうのだろうか。とにかく、彼は悟ったのだった。
「また違うところに飛ばされたのか……」

「ようやく起きたか、アレク」
 何の気配も前触れもなく放たれた声に驚いてアレクの体がビクッと震えた。それを見た声の主がクツクツと笑う。気恥ずかしさでアレクは背後を半眼で睨んだ。
「リオ。驚かすなよ」
「その気はなかったんだがな」
 悪戯が成功した子供のような顔をしているのは黒髪の美少年だった。僅かに細められた紫紺色の瞳の目に、スッと通った鼻梁。街を歩けば女性の半数以上は振り返るほどの、少女めいた(と言うと本人に殴られるのだが)美貌だ。同じ男としてあまり隣に立って歩きたくはない顔である。もっとも、アレクはもうすっかり慣れてはいた。
「それで、ここはどこなんだ?」
「さあな。僕にもわからん。僕だってお前が目覚める少し前に気がついたんだ」
 やれやれと首を振った少年の顔に浮かぶのは諦観の表情だ。アレクも似たような気分である。どうやら自分達はそういう宿命なのかもしれない。何が「そういう」なのかはあまり考えたくないが。
「足音がする。誰か来るな」
「どうするんだよ、絶対怪しいぞ俺ら!」
「お前に任せる。僕が喋るとどうも猜疑心を生ませるみたいだからな」
「どーなっても知らんぞ」
「信頼しているからな、アレク」
 軽口のような言い方だが本気なのはアレクにはすぐにわかった。これだから幼馴染というのは困るのだ。
「はいはい」
 そして自分が相手の発言が本心からのものだと気付いて、それでいてわざと呆れたように答えたこともすぐにわかったのだろう、少年は目を細めて笑った。

 トントントン、とドアがノックされる。二人は互いの顔を見て、頷きあう。
「はい、どうぞ」
 アレクが言った。扉の向こうで驚いた気配がする。ギィと重厚な音を立てて扉が開けられた。
「驚いた。もう目が覚めたのか」

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