小説置き場。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
大晦日だと言うのに、マスターは部屋に篭ってパソコンに夢中だ。もうすぐ新しい年が始まりそうだけど、マスターはそんなことに興味は無いらしい。
今日も長引きそうなマスターにお夜食を作って、体内時計を確認する。23:55。ぎりぎり、間に合った。
「マスター、お夜食作りましたよ」
扉を開いて、背を向けてパソコンに向かっているマスターに声をかける。ヘッドフォンをしているから大きめの声でないとマスターの耳には届かない。おれの声が聞こえたのか、マスターは慌てたようにヘッドフォンを外してこっちに振り向いた。
「カイト、お前の昔のマスターって、……」
そう言ってマスターが続けた名前は、確かに最初のマスターのもので。だからおれははい、と返事をした。するとマスターがマジで、と呟いた。
「あの、俺ですら知ってる作曲家の?」
「はい。そうですけど」
確かに最初のマスターは、おれに歌を作って、それをおれが歌って、一緒にメディアに出ていた。だからマスターが知っていることは意外でも何でもない。……ちょっと、マスターより数世代上なのは否めないけど。
「どうしたんですか、マスター?」
「いや、お前有名人やったんやなぁと思うと意外に思っただけや」
何だか取り繕ってるような気がする。サイドテーブルに炒飯を置きながらパソコンのディスプレイを見ると、マスターが凄い速さで画面を閉じた。余りおれには見られたくないものだったようだけれど、一瞬でも画面を見ただけでおれには十分。懐かしい、ボーカロイド用の譜面が目に入って、無意識のうちにそのメロディーを口ずさんでいた。
「カイトっ!」
マスターが真っ赤になっておれを呼ぶ。その理由がわからなくて、首を傾げながら詞の無いメロディーをラで歌いきった。
「どうしたんですか、マスター?」
さっきと同じことをもう一度聞く。マスターはなんでもない、と答える。
真っ赤になって恥ずかしがるマスター。唐突に昔のことなんか質問してきて、おれから隠そうとした楽譜。
……もしかして。
「おれに曲、書いてくれたんですか……!?」
「うるさいっ!」
くわっ、とおれに反射的に返事をしたマスターがちょっと微笑ましい。否定はしないということは、もしかしなくてもそういうことだ。マスターが、おれに、うたを作ってくれた。いや、まだ完成していないかもしれない。それでも、マスターがおれに曲を書いてくれたという事実だけで嬉しいが溢れてくる。人間風に言うと、胸がいっぱいになる。
「ありがとうございます!」
おれが言うと、マスターがふい、とそっぽを向く。
「お前の前の所有者が音楽家やなんて知ってたら、こんなんせぇへんかったわ……」
「どうしてですか? おれはマスターに曲を作ってもらえて、とっても嬉しいです」
「……フクザツなマスター心ってやつや。察しろ」
と、妙なことを言って、マスターが黙り込む。指示通りに察しようと思考回路を走らせようとして、気付いた。
「あ」
「何や?」
体内時計が告げるのは、
「マスター。おめでとうございます」
「はぁ?」
「明けました」
00:00の表示。
ぽかん、としたマスターが数瞬の間を置いて答える。
「それを言うなら『明けましておめでとうございます』とちゃうか?」
「そうですね。今年も、よろしくお願いします」
*
【ネタメモ】知らない場所(旅行先など)でえっちしようとすると物凄く恥ずかしがるマスター
*
気持ちばかり焦って、想いは先に行ってしまって、行動はついてこなくて!
あれもこれもそれもどれもかれもやろうとして過呼吸
馬鹿みたいに一つのことしかできないって、誰よりも自分で知ってただろう?
*
「……カイト。確かに好きなん歌いって言ったで? 言ったけどなんでこんなに至近距離なん?」
「マスターが構ってくれなくてつまらないからです。こうやって耳元で歌えば……マスター、おれの事しか考えられなくなるでしょう?」
*
うわっ、地面から建物が生えてきた。結構現実的な世界観だと思ってたのに……。これは思いっきりファンタジーだよね? どういう原理なんだろう?
……っていけない、Nくんの話を聞かないと。
ここでアデクさんに勝てば、殿堂入りできてマスターの所に帰れると思ったのになぁ。めんど……じゃないや、残念残念。
『お前なぁ、まだレシラム登場してへんやろうが。ポケモンってのはクリア前に伝ポケと戦闘になるのがお約束やで、お約束』
……初代だとそんなこと無かったと思うんですけど。
『うっ……。ええから先行き!』
はーい。じゃあ行こうか、皆。
……おれはこの子達は好き好んで戦ってるように見えるんだけどなぁ。
*
「ん。帯人か……どうしたんだよ、急に」
「別に」
「そうかよ」
「暇なんだけど、アカイト」
「お前はそうでもオレは本読むのに忙しいんだっての」
「本なんていつだって読めるじゃない」
「お前に構うのもいつだってできるだろ」
「僕は今じゃないと嫌だ」
「わかったよ、仕方ねぇな……」
*
いつだって。
私は私が嫌いだった。
*
カイト+ミクで恋バナ?
「カイトってさぁ……彩園寺くん、好きなの?」
「うん。そりゃもちろん。マスターだし」
「そういう意味じゃなくて! その……恋愛対象として、好きなの?」
「うん。だからマスターは渡さないよ?」
「誰も取ろうだなんて思ってないから。でも見込みあるの? あの人私達は対象外なタイプじゃん」
「マスターがおれを好きじゃなくても、嫌われてないならおれはそれでいい」
「それで我慢できるの?」
「できるわけないじゃん。だからぎゅーってしたりとか、ほっぺにキスとかで我慢してる。それくらいなら許してくれるから。口にしたときは凄く怒られたけど」
「そこまでしてるのに無視を決め込んでるの? 酷くない?」
「一回ちゃんと言ったんだよ、好きですって。そしたらマスター、それはおれの勘違いだ、ってさ」
「何それ!? 最っ低じゃん!!」
「うーん、そうなんだけどねぇ……。ただマスターの言い方が、『俺の方だって判断つかないのにお前が先に結論出すな』っていう言い方だったから……まぁ、見込みはあるかなぁ? って」
「結局は自分の気持ちもはっきりさせられない優柔不断男ってことじゃない」
「違う。慎重なだけだよ、マスターは。うっかりおれを傷つけないように、凄く気を使ってる。……そんなこと、しなくてもいいのにね」
「……ホントにね。まぁ頑張って、カイト」
「あはは……。ミクの方こそ、頑張るんだよ?」
「なっ……。何のこと!?」
「何って、室長さん好きなんじゃないの?」
「……どうしてこう勘が鋭いのかなぁ、カイトは」
あまり意味はないけど設定を小出し。
マスターの所属している研究室ではミク・ルカ・がくぽを所有していて、他に学生所有のボカロのメイコとリン・レンがよく研究室に来ます。
カイトが年下扱いしているのはリンレンだけ。同じ成人男性型のがくぽとは仲良しで、明け透けに物を言うミクとも仲良し。マスターを巡って関係が微妙なルカは苦手。メイコには逆らえない。そんな感じ。
……研究室設定は本来どうでもいいはずなんだけどなぁ。
*
12月の時点でカイトは自覚済み。でも告白はもっと後。その時はマスターに「お前は俺がマスターだからだろ」と一蹴されてる。
マスターはカイト好きだけど、それは自分の所有物だからだと思い込んでる。マスターの告白話までずっと。ただ、その割りには相当甘えてる、と。
*
「うーんと、ちょっと最近野性ポケモンにすら勝てない、って感じだよねぇ」
「特訓、するしかないか」
*
心配してくれてるのはわかる。それでも、思ってしまう。
この世界におれが来てしまう前のおれは、『カイト』という人間は何処に行ってしまったのだろうと。
おれは、一体何を上書きしてしまったのだろうと。
ネタ設定でもシリアスに走ろうとする自分、自重。
一応女主が存在しているため、カイトは過去を捏造しただけ。
*
夢メモ
地球が金星と衝突して重力加速度と自転周期と公転周期がおかしくなる夢を見た。一日が11時間になってた。その後約一年後にもう一回金星が地球とぶつかって元に戻るんだけど、それでも一日が23時間になって一年が今よりも一週間くらい短くなるらしかった。
*
PR
この記事にコメントする
カテゴリー
プロフィール
HN:
天樹 紫苑
性別:
非公開
カウンター
解析