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小説置き場。
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そうとう昔から書き溜めてた文字通り断片集。

大まかに上から オリジ・D2・トリップ編・D くらい。
優と慎太郎は初登場か? たまに学校でごりごり書いてるときがあったり。
いかにもな厨設定だったりする。正反対な双子。

 


「んじゃな、高瀬に岡本」
「おう」「また明日」
 十字路に差し掛かった所で新島慎太郎はバンド仲間の二人に手を振った。そして、ネオンのきらびやかな繁華街の人波の中に違和感なく溶け込んでいく。
「新島ってさ」
 それを見送りながら、交差点に残された片方が呟いた。
「すぐにわからなくなるんだよな。あんな外見なのに」
「確かに。もうどこにいるのかさっぱりわかんないよな」
「俺たまに、さっきまであいつと一緒にいたこと忘れそうになる」
「……俺も、同じこと思ったことがある」
 そんな会話も、繁華街の騒音に呑まれて消えた。


 プシュー、と音を立てて慎太郎の背後のドアが閉まった。ガラガラの電車の明かりが闇の中に虚しく遠ざかって行く。ホームに降り立った人の数は疎らだった。会社帰りのサラリーマンの姿がほとんどの中、金色に脱色した慎太郎の髪はとにかく目立った。それに加えて無数に開けたピアスに、無造作に着崩したように見える服装とくれば、この田舎な駅では面白いように浮く。尤も、そんなことを気にするようではこんな恰好はしないのだが、それでもふと客観的になった自分自身が慎太郎に突っ込むことはよくある。何でこんなカッコしてんだ俺? 自分でもよくわからない。
「慎太郎」
 改札の所で名前を呼ばれて慎太郎は振り返った。声だけで誰か判断できる。このあたりで有名な進学校の制服を見本のように着こなした、慎太郎の片割れだ。
「優」
 真面目、という鉄仮面を被ったような片割れに、慎太郎は普段付き合ってる友人達には見せたことのない、穏やかな顔を見せる。
「そういえば今日は予備校だったっけ」
「そ。ところで慎太郎、今日の夕飯当番どっちだっけ?」
 昨日のシチューを思いだして慎太郎は呟いた。
「……俺」
「んじゃ買い出しよろしく。昨日で食材切らしたの、忘れてないよな?」
「な、たまには一緒に……」
 行こう、という言葉は無常にも掻き消された。
「やだ。何回俺がお前の代わりしてると思ってるんだ」
「それは本当に悪いと思ってるって」
 図星なだけに言い訳の仕様がない。明らかに分が悪い慎太郎を見て、優はニヤリ、と笑みを浮かべた。
「んじゃ今日はオムライス作れ」
 当然オムライスは優の好物だ。同時に慎太郎の得意料理でもある。だからこそ手を抜くと後が恐ろしい。
「なんで!」
「反省してるんだろ?」
 挑発されるように言われるともう慎太郎にはどうしようもなかった。

「……わかったよ作ればいいんだろ作れば!」



 そんな日々が当たり前のように続くと思っていた。



「どこだ、ここ……?」
 急に明るくなった景色に優は目を細めた。綺麗なところだった。同時に恐ろしいところだった。
 緑が優の視界を埋め尽くしている。さっきまでの乾ききった空気とは打って変わって、木々の息吹を感じられる湿っぽい空気が辺りを満たしていた。

*****

「ルーティ」
「アレク……なんだか大変なことになっちゃったわね」
「そうだな……」
「皆、悪気はないのよ。ただあたしのことを心配してくれてるだけ」
「わかってる、そんなこと」
「あたしだってわかってる。だけど……やっぱりあんたと結婚するのは無理よ」
「俺も同感だ。そんなことしても、俺達は幸せにはなれないんだろうな」
「そう、ね……。あたしたちには失ったものが多すぎる」
「さぁ、もう寝よう」
「ねぇアレク。あなたはあたしのことをどう思っているの?」
「大事な仲間。どうしてもリオを思い出させる、な……」
「そんなことだろうと思ったわ。おやすみ、アレク」
「おやすみ、ルーティ」

→お互いを愛することはできるのだろう。だけど、もういないあの人より愛することは決して、ない。
 限りなくグレーに近いルーティとアレクの関係。スタン死亡後だからD2に分類されるのか……?




「アレクさん。やっぱりこちらにいらしたんですか」
「お前もスタンに挨拶か、ロニ」
「はい。これをしないでここを出るわけにはいきませんから」
「俺も同じだ。お前たちは今からここを出るんだよな」
「はい。アレクさんは……」
「俺か? 俺はもうちょっとしてからだな」
「俺とカイルの道中で追い抜かれそうですね」
「まぁ、その時きはその時だ。どうせアイグレッテまで行くのは同じだから、向こうで合流してもおかしくないしな」
「その時はよろしくお願いしますね。それでは、そろそろ俺は行きます」

→スタンの墓前にて。スタンネタ多いなぁ……。敬語全開のロニが気持ち悪い。




「フィリア! 無事か!?」
「アレクさん……!! ええ、大丈夫です」
「あーもうなんなんだよこいつは……。カイル、ロニ、わかってるだろうがこいつ相当強いぞ!」

→バルバトスとの初対面。あれ、フィリアって気絶してたんだっけ? そしてリアラは?




 カイルの剣が弾かれる。バルバトスの斧が閃いた。間に合わない……! 咄嗟にアレクの晶力が高まる。媒体となったレンズが砕ける寸前までいったところで、この場にいる誰でもない声が響いた。
「カイル、これを使え!」
 瞬間、その声が誰のものであるかアレクは確信できた。それと同時にそんなはずはないと否定する。だが確信を打ち消すことはできなかった。
 彼がそこにいる。だが、何故? 彼は、確かに死んだのに。
「リオ……?」
 意識せずに零れでた声を拾った者はいなかった。




「アレク…という名前なのか?」
「あぁ。どうしたんだい、そんなに驚いた顔して」
「いや…僕の知り合いに同じ名前の人がいるだけだ」
「ふぅん…その人、カルバレイスの出身かい?」
「いや…出身地は聞いたことがないな。カルバレイスには多い名前なのか?」
「そうだねぇ…あたしも詳しい話は知らないんだけど、昔の有名人の名前らしいよ。本名はアレクシャーって言って、アレクってのは愛称だったみたい。カルバレイスでは勇敢な子に育ちますように、という願いをこめてつける、よくある名前だけど」
「そうか…」


「行かなくてよかったのかい、アレクくん」
「まぁ、あいつら殺しても死ななさそうな奴らなんで…それよりもウッドロウさんの方が心配だったんですよ」
「心配には及ばないよ。ところでアレクくん、あの一緒にいた仮面を被った彼は…」
「やっぱりわかりますよね。ええ、リオです」
「やはり…リオンくんだったのか。だが、どうして…?」
「さぁ。俺も詳しい話は聞いていないんでなんとも。あいつ、今度こそ仲間を裏切ることのないように、って必死なんですよ」
「そうか…難しいことかもしれないが、幸せになってほしいものだな」
「全くです」


「ここは英雄博物館ですよ?そんなもの、置いてあるわけないじゃないですか」
「まぁ、所詮はそんなものか。俺としてはこんなところぐらい6本そろって並べさせてやりたいもんだがな」
「所詮はって…あなたねぇ、四英雄に対して失礼ですよ」
「はぁ…なんでウッドロウ王もこんなのを許可したんだか。カイル、俺は先に出とくからな」
「あ、う、うん」


 いつから、歴史は元に戻るのだろう。

 世界が狂いだしたのは、いつ?


「よそ者に売る物なんかないね。帰りな」
「そこを頼む。確かに俺は育ちは外だけど、生まれはカルバレイスなんだ。名前もアレクっていう。なぁ、頼むよ」
「……勝手にしな」
「助かる」


*****


「んでさ、なんで俺は若返ってるわけ」
「そんなこと僕が知るか」
「てかここどこ」
「そんなこと僕が知るか」
「だよな…」


 天使が瞬く間もなく消えた後には空気中に漂う羽だけが残された。神聖なる儀式の余韻が残る中、ロイドが声をあげた。
「祭壇がまた光りだした!」
「えぇっ、どうして……? もう儀式は終わったのに」
 光は徐々に強くなり、目も開けていられなくなった。光が元に戻ると、そこには、
「人……?」


 友達と聞いて、真っ先に浮かんだのはあの人だった。
――笑えよ、ルーク。そしたら、いつかそいつは本物になるからさ。
 あの屋敷だけが俺の世界だったあの頃に、突如として現れた、『外』の人間。俺に人として当たり前のことを叩き込んでくれた人。それでも、いつだって俺と対等だったあの人。
 今はもう、どこかに行ってしまったのだけど。
――それじゃあな、ルーク。これが最後のお別れだ。
――折角だから、笑ってくれよ?
 最後まで笑っていたあの人を、俺は忘れない。


*****


「休暇?」
「ああ。ようやく神の眼の騒動も一段落着いたからな。僕が申請しておいた」
「お前は?」
「まさか僕とお前が同時に休暇を取れるわけがないだろうが」
「期間は?」
「今日から二週間」
 突然のように降って湧いた休暇。折角だから、とアレクは、あの遺跡に行こうと思った。リヴィエールと出会った、父親が死んだ遺跡に。


「何を考えてたんだ……? ハロルド」
 これは一種の禁忌でもあった筈なのに。
「いざというときはマスターを殺してでも先へ進めと?」
 確かにある自分の体を見下ろしてリヴィエールは呻いた。


『久しぶりだな、リヴィエール』
『お前もよく状況がわからないだろうから、俺にわかりやすいように説明しておく』
『お前を地に放してから、あることに俺たちは気付いた』
『ソーディアン・ベルセリオスが見つからないんだ』
『まぁ、ダイクロフトが崩壊する際に失われたと考えるのが妥当だ。だが、カーレルの遺体を運んできたやつが妙な証言をしてな』
『いわく、カーレルの遺体を運ぼうとしたときにはもうベルセリオスを見当たらなかったらしい』
『これを聞いたハロルドがある可能性を指摘した』
『突飛もない話なんだが、カーレルとミクトランが差し違えるときに、ミクトランが自分の人格をベルセリオスに照射したかもしれない』
『普通ならそんな簡単にソーディアンの人格は消滅しないんだが……ハロルドは目の前でカーレルに死なれている。ミクトランに隙を与えてしまった可能性も否めない』
『まぁ、可能性の中での可能性の話だ。本当にそうだとは言い切れない』
『だが、万が一その通りだとしたら――ミクトランは生きている。俺達の戦争は終わっちゃいないんだ』
『と、ここまでが長い前置きだ。幸いにしてお前には大量の空容量があるから、今言ったもしもの時の為に強化プログラムを用意しておいた。まあ機能は使えばわかるだろ』
『それじゃあ、これで連絡は終わりだ。健闘を祈る』

「今のは?」
「俺のオリジナル。……随分とえげつないことを言ってくれる」
「だけど、もしもの話なんだろ?」
「ハロルドの勘なんて断定と同じだ。そうじゃなかったらわざわざこんな施設造ったりするもんか」
「それじゃあどうするの?」
「……悪い、アレク。現在を生きるお前に過去の俺達の尻拭いをさせることになるが……協力、してくれないか」
「それで俺が断るとでも思ってるの? 心外だなぁ」
「ありがとう、アレク」


「俺は……いや、俺のオリジナルは彗星衝突後の生まれなんだ。物心ついた頃には空はずっと曇っていて、空が青いと知ったのは戦争が終わってからだった」

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