小説置き場。
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タイトルそのまんま。
真ちゃんと宮地さんの設定量が怖い。
真ちゃんと宮地さんの設定量が怖い。
プロット
いわゆる見える人だった高尾が、緑間は霊能者らしいという噂を聞いて、見えないようにしてほしいと頼み込む。
高尾は見えない、『普通の人』に対して強い憧れを持っていた。霊を見ても両親すらまともにとりあってもらえず、周囲全てに嘘をつき続ける事に高尾は疲れていた。高尾の妹だけは高尾の言うことを信じて(受け入れて)いたが、精神的に疲れていた高尾にはそれが本心なのか、うわべだけのものか分からなかったし、疑ってしまうことが嫌で嫌で仕方がなかった。
一方緑間は、実家が神社であったため家族の理解があったし、キセキといった同じ霊能力を持つ知り合いも、霊能力は持たないが受け入れてくれる存在もいたため、自身の異能を受け入れる環境が整っていた。緑間にとって見える世界は優しかった。それは見えない者達から距離を置き、見える者達の社会に身を置いているがための優しさだった。緑間は異能を持っていることが自分のアイデンティティーのうちの一つだと思っていたため、安易に高尾の目を奪う事に躊躇いを感じていた。緑間の能力で高尾から目を奪うことはできた。だから緑間は、まず高尾に見える者の社会を見せる事にした。
金曜日の放課後、緑間は高尾を家の神社へ連れていき、お参りをした後で境内に溜まっている小鬼達と遊んだ。緑間を幼い頃から知る神社の近所の老女は、見えざる者と戯れる二人に優しかった。高尾を泊めた緑間の両親は、息子の友人を温かく歓迎した。家の中のつくもがみ達は、緑間は優秀な術者であったから、彼の前では従順だった。緑間がいなくなると途端に生意気になったが、それでも彼らは善良であることは高尾には分かった。
翌日には緑間は高尾を大坪の店に連れていった。そこには大坪の友人であり、緑間との付き合いも長い木村と宮地がいた。緑間が大坪に連れられて席を外している間、高尾は木村に話しかけられる。ここに連れてこられたということは、見えるのか、と。それに見えなくしてくれと頼んだら連れてこられた、と高尾は答えた。あいつはそんなこともできるのか、とそれまで黙りを決め込んでいた宮地が呟いた。宮地は左目を前髪で隠していた。見たくもないものが見える。貴方は嫌になりませんか、と高尾が尋ねると、宮地は嫌になるときはあるが、自分にとっては見えることが必要なのだと思っている、と答えた。宮地は自分の霊能を好意的には捉えていなかったものの、受け入れていた。大坪の店を出た後、緑間は駅まで高尾を見送った。別れ際に、月曜日になったら高尾の視力を奪う、と緑間は告げた。
緑間がこの二日間で何を伝えようとしていたのか、分からない高尾ではなかった。霊能を好意的に捉える緑間と、否定的に捉える宮地。両者の共通点は、自分の霊能を受け入れているところだ。自分の目を拒絶することばかり考え、視野狭窄に陥っていたということを高尾ははっきりと自覚した。見えることから目を逸らさずに、本当に共存はできないのかと考えることなく能力を捨てようとした高尾の行動は、なるほど確かに乱暴だっただろう。緑間はわざわざ一日の猶予をくれた。その短い期間くらいなら、反吐がでそうなほど嫌いなこの視界を、しっかりと見る事もできるだろう。
日曜日、高尾は何も見ることのない、高尾が見えていることなど想像もしていないであろう友人達と遊んだ。目が合ってはいけないものの側を、何も知らない友人達はなんだか寒気がする、と言いながらも無邪気に通り過ぎていった。高尾は必死になって気付いていないふりをしてやり過ごした。
そして月曜日。どうする? と緑間は高尾に問いかけた。それに高尾は頼む、と答える。
緑間。オレさ、お前に初めて会った時はさ、見えてるもんを見えてないだなんて皆に嘘をつくのが嫌だとか、親から可哀想な目で見られるのが嫌だとか、要するに否定されることが嫌だ、そんくらいならオレも見えなれば皆と話があって都合がいい、みたいなこと言ったよな。んでだからお前は考え直せ、ってオレを連れ回したよな。あんな、オレはお前にウソをついたから正直に白状するな。アレ、完全に逆効果だったから。
本当はオレはたすけてほしかったんだ。怖ぇんだよ、幽霊なんて。全部どろどろのぐちゃぐちゃに見えんの。全部化け物なの。全然慣れねぇの。何回見ても体は震えるし小便チビりそうになるしガチ泣きしそうになるのに皆怖くねぇんだと。見えないから。幽霊なんていない、って言えちゃうの。もうそれが羨ましくて仕方がなくてさ。もう嫌だったんだよ。見えるのが。だかお前に泣きついたワケ。なのにお前んちの神社にいたばぁちゃんは見えてないのにいるみたいに振る舞うじゃん? 見えてることに開き直ってるお前んちは化け物の巣窟じゃん? 宮地さんなんて自分には見えることが必要だからしゃーないなんて言うじゃん? 見えなくなっても無駄だ、もう逃げられないって言われてるようなもんじゃん! てかお前はそのつもりだったんだろうけどさ! だからオレもマジで怖くて仕方がないけど諦めて受け入れるしかねぇのかな、ってお前と別れた後に友達と遊びに行ったわけ。そしたらやっぱり見たよ、幽霊。チビるわけにも泣くわけにもいかねぇから必死になって耐えてさ。でもさ、あいつら見えてないの。「ちょっと寒くね?」とか言うだけで済んでんの。ずりぃじゃん! なんかもう、心折れた。もう無理。だから、
たすけて、緑間。
そう言った高尾は泣いてこそはいなかったものの、それでも緑間にすがり付く表情だった。自身の霊力の強さ故、
霊的存在は気を付けて接しなければならない善良ではない隣人、程度に捉えていた緑間は、霊的存在自体に脅威を感じる場合があることなど思いもよらなかった。自分の思い上がりを感じた緑間はそれを恥じ、高尾に術を施すことにする。多くの場合、霊視能力が高い人間は霊障に弱い。高尾の霊視能力を奪うのならば、これからの身の安全の為には警戒のためにその事実を伝えなければならないと緑間は考えていた。しかし、例え見えなくとも存在している、ということを確信してしまった高尾にそれを告げる事は酷なように緑間には思え、その事を緑間は告げない事にした。この高尾の怯えようからして自ら近付く事は無いようにも思えた。霊視能力が失われても第六感は鋭いままであることだけを伝え、自分の直感には素直に従うように、とだけ緑間は伝える。
それから、緑間は高尾を背後から抱え込み、テーピングを外した左手で高尾の両目を塞ぐ。高尾に気付かれないように、これからの幸せを祈りながら、つむじに口づけて緑間は高尾の視力を奪った。高尾は眼球の奥が溶け出すような感覚に襲われ、緑間は左手から高尾の能力が流れ込んでくるのを感じる。緑間は高尾に告げていなかったが、緑間の術は高尾の霊能力を緑間に移す、というものだった。術を終え、高尾の視力を得た緑間は周囲を見て驚く。害の無いもの、と放置していた雑鬼に、おどろおどろしい影が重なって見えたからだ。今までの緑間ならば即座に祓っていたであろう禍々しさに、これを日常的に見ながらも耐えていた高尾に驚嘆する。
これでお前は、何の脅威もない世界に生まれ換わった。新たな世界に生まれたお前を祝福しよう。
漸く目を開けた高尾は、本当に化け物が見えていないことに驚き、喜ぶ。餞別だ、と緑間に新たなお守りを渡された高尾は緑間に礼を言い、別れた。
それからの高校生活の間に、緑間と高尾が話す事はなかった。
設定
緑間
・神社の一人息子で自転車通学。弓道部。
・弓道にも人事を尽くしているだけあって命中率は凄いのだが、優先順位はピアノのため、泊まりの必要がある大会には出ない。流石に団体戦の大会になれば行くつもりではあるが如何せん弱小なのでそれは厳しい。用事があればすぐにサボるし、それが許容される雰囲気でもある。むしろ用事が無ければ必ずくる緑間は真面目な方。緑間的には学校の弓道場を借りるために所属している、くらいの認識。ちなみに学校は家から近くて偏差値も高いから、くらいの理由で選んでいる。
・その整った外見と校内の音楽発表会に有志で参加した際のピアノの演奏技術で校内では他学年でも顔と名字が一致する程度には有名。弓道の腕前はあまり噂になっていない。
・理知的な外見に違わず成績も優秀な秀才で、運動神経もよく、更には高い霊能力を持つという天は物を与えすぎだろうという、だがしかし ぼ っ ち 。
・多分高校には同じ弓道部員しかまともに話す相手がいない。
・男子よりも果敢にもアプローチをかけてくる女子の方が話したことがあるレベル。いつの間にか付き合っていることになっていつの間にか別れている。緑間の買い物に彼女(仮)が同行することがデート扱い。多分本人よりもクラスメイトの方が緑間の自称彼女遍歴について詳しい。
・ちなみに会話は相槌くらいは打つが言い換えると相槌しか打たない。返答がなかなか思い浮かばないからであって、暫くの無言に耐えれば緑間も話してくれるのだが残念ながらその事実には高尾しか気づいていない。
・友人がいないせいでほぼ喋らないため、大人しいと勘違いされているようだが、外見などを妬んでちょっかいをかけてきた人間には自身の霊能力をもってきっちりと制裁している。
・そのため影では関わると祟ると噂になり、それを聞いた緑間の同中が実家が神社であることを話す→やっぱりな という流れで実家が神社であることが密かに広まっている。
・色んな意味で目立ってしまう件については諦めているため、霊能力については開き直って特に隠してはいない。必要ならば聞かれても素直に答えるし、霊能力を見せることにも躊躇いがない。
・語尾の「なのだよ」は健在。座右の銘が人事を尽くして天命を待つなのも健在。おは朝は桃井(同い年)がアナウンサーになってから当たるようになったという設定なので社会人になるまではまだ信者ではない。テーピングはピアノに人事を尽くすため、ということで両指にしているが、不用意に呪物に触れない為でもある。術を使うときにはテーピングを外す。
・霊力が馬鹿高いためぶっちゃけ何でもできるが、神道は清めることに特化しているため結界とかお祓いの方が得意。本当は鳴弦とかもできるけどやるタイミングがない。
・霊的存在の知覚の仕方は、一般的な『自分との霊能力の差によって見え方が変わる』タイプ。簡単に言うと弱いやつは脳が勝手に雑魚そうな見た目に処理してるってこと。特に知覚に関する能力は持っていないため、相手が意図的に姿を隠そうとした場合は知覚できなくなるが、ポテンシャルは高いので能力が無い割には知覚できるほう。知覚できるできないのギリギリの隠形では聴覚の方から知覚する(=目よりも耳の方がいい)。
・後述する高尾の能力を借りた緑間は、緑間自身の視界に高尾の能力による見え方が重なって二重に見えるようになる。
・なお、高尾の能力は追々返却させます。
高尾
・緑間と同じ高校。電車通学。
・何かしら部活はしているはずたがそんなに厳しい部活ではない。
・四つ下くらいに妹がいる。タイミング悪く、母親が妹を身籠った頃くらいからありもしない物があると主張するようになったため両親は自分達の気を引くためと解釈した。妹が生まれてからも中々改善しなかったが、両親が内心で高尾の事を気味悪がっていると悟り(通っていた幼稚園の教員からもそれとなく両親には話が行っていた)、就学する頃には誰にも言わなくなった。
・おかげで周囲は高尾が所謂見える人だとは誰も知らない。妹だけはそれもなく悟っていた。ちょくちょく幽霊に驚かされて変な行動をとってしまうが上手く誤魔化せている。
・学校の宿泊行事の肝試しは毎回命懸けの覚悟で行っている。幸いながら死んだことはない。
・幼い頃の経験から見える人だと知らると独りぼっちになってしまう、という強迫観念があり、それを誤魔化すかのように交遊関係は広い。とはいえ本質的に社交的なため苦ではないし、友達が多い方が安心できる。いろんな人と喋っていろんな考え方に触れるのたのしーなー、という感じ。同学年程度なら一度は名前を聞いたことがある、という具合。
・しかし絶対にバレてはいけない秘密を抱えているため、人間関係の線引きははっきりしている。学校がかわっても個人的な付き合いが続くような友人は作らない。
・霊的存在の知覚の仕方が特殊で、『そのまま見える』タイプ。一般的な『自分との霊能力の差によって見え方が変わる』見え方との違いは、一般的タイプでは脳が勝手に処理してしまったこともはっきりと見えるということ。だが、霊的存在をそのままの姿で見てしまう事は精神に負担を強いるため、見えているだけで精神的な負担、即ち恐怖を感じる事になる。
・今回の件の後は緑間から遠ざかるが追々再会し、能力を返却してもらう予定。
秀徳の先輩たち
・緑間のご近所さんで幼馴染み。三人は同い年で緑間も一応敬語を使ってはいるが、お互いに認識は友人。
・高校はバラバラだが暇になれば溜まり場である大坪の店に来ているためしょっちゅう会う。
・中学生になった緑間が「年上の方には敬語を使うのだよ」とか言い出して敬語になったが緑間は全く敬ってはいないから意味ねぇ、と三人は思っている。
・敬語の緑間は「なのだよ」がログアウトしてちょっぴり寂しいが、たまに素になってタメ口になったときにからかうのは楽しいため我慢している。
・緑間は緑間で敬語を使うと距離を感じて寂しいが、自分が言い出した事であり、うっかりタメ口をきくと怒られる(と本人は認識している)ので我慢している。
・大坪さん……家が呪術品を取り扱う道具屋をしている。おかげで緑間とは家族ぐるみの付き合いで、三人のうち一番付き合いが長い。家業を継ぐ手伝いとして毎週日曜日に緑間は大坪さんのお店にお邪魔して大坪さんの父親から色んな道具について説明してもらっている。お大坪さんは第六感が鋭いだけの一般人。
・木村さん……大坪さんの幼馴染みで大坪さんを通して緑間と知り合った。一般人にしては鈍い方。霊障への耐性が強め、という事でもある。幼馴染み達が悉く見える人やその関係者なため、木村さんも当然の如く受け入れてはいる。その割には心霊体験は特にない。緑間や宮地が会話みたいな独り言言ってるなーいるのかなー程度。さりげなく緑間と同じ高校
・宮地さん……いわゆるチェンジリングから帰ってきた子供。
乳児のころに人間の乳児の姿をした何かと取り替えられて異界に→六歳の頃に緑間(当時四歳)に連れられて、左目と引き換えに取り替え先(=異界)から帰ってきた という流れの稀有な経験をしている。要するに七歳までは神の子、の理屈で神隠しにあっていたと解釈すればほぼおk。
異界で両親もおらずただ成長しただけであったため、帰ってきた時にはほぼ野生児状態。それまで宮地であった何者かは忽然と姿を消していたため、周囲は宮地が何かに巻き込まれ左目の視力を失い、それが原因で幼児帰りならぬ乳児帰りをした、と解釈した。
警察沙汰にもなったが幼い宮地や緑間が何を言っても警察が聞き入れる訳もなく、よくわからないままうやむやになった。緑間の両親だけは緑間の拙い証言から何があったのかをおおよそ推測し、宮地の両親にそれとなく助言をしていた。
そのお陰か宮地の両親は熱心な氏子さん。冗談混じりに大変な目に遭った我が子に「真太郎くんはあんたを連れて帰ってきてくれたんだから大事にしなさいよ!」と言うくらいにはオカルト耐性がある。
なお、幸いにして幼かったため、宮地はすぐに知識を吸収し、年相応になった。宮地自身は異界にいたことはよく覚えておらず、緑間に手を引かれて何かから逃げたことを何となく覚えている程度。
だが乳児の頃に他人から愛情を注がれる、といった経験をしなかった為か、実の両親にも微妙に一歩引いたところがある。完全に無自覚だが、緑間が不用意な他人の言葉に傷付く事がないように、緑間に近付く人間を警戒するフシがある。大坪と木村はそれを(お前は緑間のオカンか)と思いながらも温かく見守っている。
明るい髪色が取り替えに遭った原因かもしれない、ということで小学生の頃は黒染めをしていた。
実のところは取り替えに遭うくらい霊的存在に狙われやすい体質をしていて、帰ってきてからは自衛の為に本能的に左目で霊的存在を知覚できるようになった。本人も自分に近付いてくる霊的存在達の反応からそのことを何となく悟っている。
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