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小説置き場。
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「珍しいな。人間か?」
「ええ。最近、あたしじゃなくてシルバー目当てで入り浸っている子よ。失礼しちゃうわ」

「なあなあ、あの人誰?」
「ねえさんの……人だ」
「ブルーさんの人?」
「吸血鬼ハンターの人間だ。……一応」
「え? ハンターってやばくね?」
「実際は交渉屋……いや、詐欺師だな」
「はぁ」
「人間達からふんだくった謝礼を吸血鬼に回して新天地を斡旋している。俺たちもあの人の客だった」
「退治してねーじゃん」
「ああ。だが人間達の間では優秀な退治屋と思われているようでな。貰える謝礼がとんでもない額らしい。そしてその分吸血鬼に回る分も増える。その繰り返しだな」
「……お前達は何を貰ったんだ?」
「あの人の時を。ねえさんが気に入ったからな」
「時?」
「人間としての寿命、だな」
「使い魔になったのか?」
「いや、夜側に近付いただけで、まだ人間の範疇だ。
 それにしても随分食いつくな、ゴールド?」
「そりゃ、先輩みたいなもんだろ? 気になるじゃん」
「言っておくが、お前に同じことはせんぞ」
「なんでだよ? これでも結構お前に気に入られてると思うぜ?」
「俺達は退屈を友とする術を知っている。だが人間は知らないだろう。人間に永遠に近い命は耐えられない」
「何だよそれ、やってみなくちゃわかんねーだろ」


 *

「あら、可愛い子じゃない。食べちゃおうかしら」
「ねえさん」
「冗談よ。そんな怖い顔しないで、シルバー」
「ねえさんが言うと冗談に聞こえない……」

 *

「また来たのか、お前」
「いいじゃねーか、俺が好きで来てるんだからよ」
「お前達昼の住人と、俺達夜の住人は交わるべきじゃあない。わかってるだろう」
「わかんねーよ」
「ゴールド」
「そんなに来ないでほしいなら俺がそう思うような事すればいいじゃねぇか」
「今更何をしたって無駄だろ」
「わかってるじゃん」
「……はあ、好きにしろ」

 *

「結局シルバーの扱いってどうなってんだよ?」
「どうって?」
「あいつ、明らかに村から浮いてるじゃねーか。たいていの奴は遠巻きにするし。でもその割には嫌われてる感じはしねーんだよな。そこが納得いかねー」

 *

「って言うかさ、こんなに開かれてて大丈夫なのか? この村」
「? 何か問題でもあるのか?」
「だーかーらー、間引きの時期はヤバイだろ?」
「……『間引き』?」
「え、嘘だ。まさか知らねーの? 年に数回の、ポケモンが凶暴になる時期じゃねーか。間引きの時期はあいつら本気で人間を殺しにかかってくるんだぜ?」
「この辺りのポケモンが村の人間を襲うことはまずないぞ。せいぜい威嚇くらいだ」
「……まぁ、そんな言葉があることくらいは覚えててくれや」
「そうだな」

 *

ネタメモ
・白無垢を着た花嫁を見ていいなぁというクリス(サファイアか)
・ゴシルの別れ話。裏切り?
・ゴールドが吸血鬼な金銀(Sっ気な金/銀を軟禁?)
・シルバーが吸血鬼な金銀(銀は孤高の美人さん/金が押しかける)

 *

・優等生劣等生
・君は素敵な冥界に


「なぁクリス、本当に悪かったって!」
「……すまない」
「あなたたちねぇ、そのくらいで私が許すとでも思ってるの?」
「「…………」」
「私を置き去りにしてチュロスを買いに行った罰だわ。二人でダンボに乗って来なさい! 思う存分写真を撮ってやるわ」
「な、クリスそれは酷ぇって!」
「なんだったら一人乗りでもいいのよ?」
「……ゴールド、無駄だ」
「と・う・ぜ・ん、乗った後は外の記念撮影用のにも二人で乗るのよ?」
「…………」
「鬼だ……」

 *

 魔物が出てきたのは驚きはしなかったのだけれど。
『あああぁぁああ! アレクじゃないですか!!』
 まさか背中にシャルが突き刺さっているとは思わなかった。
 まずは周囲の様子をさっと窺う。魔物と出くわした事による緊張は感じられるが、シャルの声を聞いたそぶりは感じられない。突き刺さるような死霊遣いの視線は感じるのだが。こいつは俺を監視しているのか? 信頼してほしいとは思わないからどうでもいいっちゃあどうでもいいが、そこまでの不審の目を周囲に向けるのはやりすぎのような気がする。何をそんなに警戒しているのやら。
 何はともあれ、シャルの回収が第一だ。それだけを確認して魔物と向き合った。

 *

『ぼ、ぼぼぼぼぼ、坊ちゃーん!』
「……『ぼ』が多くないか?」
『本当に、本当に会いたかったんですよ!』
「今度はどこにいたんだ?」
『気が付いたら巨大な魔物の背中に刺さってました。だーれも僕を抜いてくれなくて、アレクがくるまで刺さりっぱなしだったんですよ!?』
「それはご愁傷様だな」
『本当に、淋しかったんですから!』
「ああ。……僕も、早くお前を手にしたかった」
『坊ちゃん……!』
「この世界の武器はどうも軟弱でな。今までに何本折ったかわからん。その点、お前なら心置きなく振るえるだろう?」
『坊ちゃんは武器の扱いが雑すぎるんです! なんで僕みたいな細剣で岩とか金属を叩き切るんですか』
「実際切れるんだからいいじゃないか」
『よ く な い で す !』
「ふーん。そうか、そこまで言うのなら……」
『え、あれ……坊ちゃん!? すみません撤回します僕が悪かったですだから置いて行かないでぇぇ!!』

「あいつらってホント見てて飽きないよなぁー」
『シャルもずいぶんギャグキャラになったもんだ』
「にしてもソーディアンって何であんなに頑丈なんだ?」
『かなり貴重な兵器だからそう簡単には壊れないようにしてんだ。コアクリスタルの強度は上げられないが、それ以外はベルクラントの直撃を食らっても平気なくらいには頑丈だな』
「それで刃毀れ一つしないんだからなぁ」
『ま、科学技術とレンズ工学の粋を集めた最高傑作だからな。ハロルドもソーディアンの開発には湯水のように金を注ぎ込んでたし。戦後は科学知識が一気に廃棄されたから、俺の知ってる歴史の中では本当にソーディアンが一番高度な技術が使われてるはずだ』

 *

「これは……譜石ですね」
「初めの方が欠けているのね。――これはっ!?」
「どうかしたのか、ティア、ジェイド?」
「いえ……どうやら個人の人生を詠んだ譜石のようなのですが、最後まで詠まれているようです――もう、故人のようですが」

 見つけたのはハイトの譜石。ルーク作成時にコーラル城にやってきたヴァンが詠んだもの。本人は存在を知らない。ディストが投げ捨てたせいで二つに割れた。

 *

「あぁ、そうだ。イオン」
「何」
「お前のレプリカに名前を用意してやってくれないか」
「なんで僕がレプリカなんかに?」
「お前でない奴をイオンとは呼べないだろうが」
「……」
「それで、何かいい名前あるか?」
「……シア」
「シア、か。随分あっさりと決まったな。由来は?」
「内緒だよ、カンタビレ」

 *

「いいえ、僕はあなたと同じ立場には立てません。
 ご存知の通り、僕は預言の上では既に死んでいる人間です。でも、今僕は生きています。だから世界は預言に支配されていません」
「だがその程度の歪みなど預言はものともしない」
「それはあなたの主観的な意見であって、事実ではない。違いますか?」
「……そう、かもしれないな。だが私は、この計画を成功させることが世界にとって最善だと信じている」
「僕だってあなたが何を信じるかを否定する気はありませんよ。ただ僕は、人一人の運命すらも決定できない預言が世界の運命なんて決定できるわけがない、と主観的に思っているだけです」
「本当に残念だな。お前とは上手くやっていけると思ったのだが」
「全くです。あなたのような人間を、全力で止めないといけないだなんて冗談じゃない」


 *

「二人は、『間引き』の原因について何か聞いた事があるのでしょうか?」
「さぁー?」
「ポケモンの繁殖期だから気が立ってるんじゃないのか?」
「そうですね。それが一般的に言われている事です」
「一般的……ってことはお嬢さまは違う意見なんだねー」
「『お嬢さま』はやめて下さいと言いましたよね、ダイヤ?」
「あ、ごめん。プラチナは違う意見なんだねー」
「ええ。繁殖期という考えには曖昧な点が多すぎます」
「と言うと?」
「まずは、本当にポケモンには繁殖期が存在するのかということ。過去の人工的にポケモンを飼育していた頃の記録を見る限り、ポケモンに特別な繁殖期はありません」
「それって人工的だからじゃないのか?」
「そのように解釈されていますが、野性のポケモンに繁殖期が存在するという証拠が見つかっていないのも事実です」
「へぇー」
「次に、間引きの前後で見かけるタマゴやポケモンの子供の数が減っているということ。この調査は、過去にあなた達にもお願いしたと思いますが」
「あぁ、そういえばそうだったねー」
「で、結局何なんだよ?」
「そうですね。私は、ポケモンが増えすぎると間引きが発生するのではないかと考えています」
「食べるものが無くなるから?」
「はい、おそらくは。間引きは増えすぎた人口を抑制するための、ポケモン達の本能なのではないかと」
「町じゃあ人間の数を調整してるって聞いたことあるなぁ。殆どの町には召喚士がいないもんね」
「俺も、結構納得がいく仮説だな。父さんとかには話したのか?」
「いいえ、もう少し論を詰めてから報告するつもりです」
「プラチナの説が正しかったとして、取れる対応は都市の人口削減か食料量を増やすことくらいだもんなぁ。どっちもしんどいから、反発は必至か……」
「具体的には荒野と森の境界線に植林をすることを提案したいのですが……」
「防衛隊の出動許可、下りるかなぁ?」
「それと荒野に木が生えない原因も調べないとな」
「おいら達だけでやっちゃう?」
「あー、確かにその方がいいかもな。間引きはこの前あったばっかりだし、しばらくは大丈夫だろ。どうする? プラチナ」

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