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小説置き場。
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「あなたは彼が『見える』事を知っていたんですね?」
「知っていた、とは少し違う。そう仮定すると健司の妙な発言にも納得いくなと思っていただけだ」
「っ、なんで俺に何も言わなかったんだよ!」
「お前が完全に無自覚みたいだったから。戸惑わせる事もないだろうと思って」
「そ、れだけで……?」
「もしもお前が『見える』事で何か問題が生じるようなら、俺だって話してみただろうし、第一健司は自分で気付いたろう」
「随分と献身的な幼なじみですね」
「当然だろう?」
「さぁ。僕にはわかりかねます」
「……つまりお前、俺の言ってる事が現実の話かどうかを確認して、違うかったらわざわざ話題反らしてた、ってことだよな……何回か心当たりあるぞ俺」


「なぁぼーさん」
「ん? どした、健司」
「俺の友達にさぁ、社会学部のやつがいてさ。宗教者の話を聞きたいんだと。紹介していい?」
「……俺と話して得られるもんは無いと思うがな。ま、会って話すくらいやったらええか。俺経由で他の奴らの話も、とかそういうことだろ?」
「そーゆーこと。話が早くて助かる」


「お前が霊能者? やっぱり?」
「おい、なんで『やっぱり』なんだよ」
「だって、お前が俺には見えないものを見てるのは知ってたし」
「はぁ!? お前、そんなこと一言も言ったこと無いだろうが!」
「わざわざ言う必要もないだろ、当たり前の事なんだから」
「幽霊が見えるのが当たり前の事か?」
「殆どの人は見えないんだろうな。でもお前が見えてる事は、お前が左利きであることくらい俺にとって当然の事だ。わざわざ『お前左利きなんだな』とか言わないだろ? 幼稚園以前からの付き合いなのに」
「お前以外の奴らにも何も言われたこと無かったんだぞ、俺」
「それは単純に気付いてなかっただけだろ。お前が俺には見えない何かについて話すことなんて殆どなかったし」
「……俺さ、結構怖かったんだけどな。異常ってレッテルを貼られたのが」
「その割にはあっさり俺に話したな」
「そりゃ、お前が今更態度変えるとは思えなかったし。でもなんか、どーでもよくなったわ」
「気にする事もないだろ、今まで日常生活に苦労してなかったんだし」
「なんだけどなぁ……」
「どうかしたのか?」


「俺が目を通して認識している情報と、他の人のそれが同じだなんて証拠はどこにもありません。でも、大抵の人は同じようなものなんだと思います。そうでないと人間は共には暮らせないでしょうから」


「俺のヒトガタじゃん、これ」
「そうだな」
「でも俺、お前や麻衣みたいな被害にはあってないぞ」
「名前は正しいか?」
「ああ。ちゃんと俺の名前だぜ、これ」
「……納得できないな。どうしてお前には何も起こらない?」
「さぁ?」


「私達も、ナルも生き残る事は不可能でしょう……。斎藤さんは、平気でしょうけど」
「……つまり、ナルってばすっげー強いんだけど、強いのはPKだから俺には効かないとかそんな感じ?」


「俺がここまでオカルトオタクになったのは誰のせいだと思ってるのかな」
「? 誰かのせいなのか?」
「お前のせいだよお前の!! お前が妙な事言うから興味持っちまったんだよ!」
「興味を持った原因は俺だとしても、そっからお前がここまではまった原因は俺には無いと思うんだけどな」
「うっさいっ!」


「俺は電気屋の仕事を全うするだけさ」


「つまり、俺がベースにいればいいって事だろ? そうすればここでの心霊現象はかなり防げるってわけだし」
「さながら、天然の結界ってわけか」

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