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小説置き場。
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こんな感じで一年戦争はやっていこうかと思っています。



 冴の足払いをすんなりと避けて、そいつは後ろへと駆けていった。
 ヤバイ。
 一匹、取り逃がした。
「浅葱!」
「わかってらぁ!」
 後ろに控えていた浅葱が一歩踏み出し、そいつの体を真っ二つに切り裂いた。
 無駄にリアリティあふれる体液を浴びながらも、浅葱の剣は止まらない。
 前線に走りこみながら奴らを切り飛ばし、冴の隣に立った。
「冴、交代しろ!」
「まかせた!」
 言いながら冴は3匹の奴らに回し蹴りを放ち、宙を舞わせる。
 その反動で後ろを向いた冴は、浅葱の取りこぼしを回収すべく後方に回った。

 そして、その足が、止まる。

 冴の前方には今までの比ではない大きさの「奴」が、現れていた。

「浅葱!後ろ!」
「はぁ!?」
 冴の悲鳴に釣られて思わず浅葱が後ろを向いた。
 浅葱の剣で3枚おろしにされた奴らが、嫌な音を立てて地に着く。
 後方の特大の「奴」を見た浅葱の決断は早かった。
 冴の左手をむんずと掴み、全速力で駆け出す。
「逃げっぞ!」
 冴の返事さえもまともに聞かず、浅葱はただただ冴を引いて走った。

  *  *  *  *  *  *

「どーしたんだよ、孝慈」
 俯いていると、突然潤兄が生えてきた。
「元気ねーな、歩き疲れたか?」
 オレの背にあわせて、わざわざ屈みこんでオレを見上げている。
 …なんだか子供扱いされているみたいで、むしょーに腹が立った。
「んなわけ無いだろっ!」
「ハイハイ、十分元気だな。
 じゃあまだ歩くぞ。隣町までは結構距離があるからな。」
 潤兄は立ち上がってオレの頭に手を載せると、地図を片手にして言った。
 やっぱり子供扱いされている気がして、オレは嫌そうに潤兄の手を振り払ってまた歩き始めた。
 そんなオレを、潤兄は笑って後ろから見ていた見ていたなんて、オレは気づかなかった。

  *  *  *  *  *  *

 雪花と竜二郎は困ったことになっていた。
「盗賊なんぞに踏まれる土地なんぞこれっぽっちもないわい」
「こんな貧乏な村に何の用よ! 帰って!」
 雪に埋もれながらようやくたどり着いた村に、入れないのだ。
 どうやら最近出没している盗賊と思われているらしい。
「俺、盗賊なんかじゃないんですってば!」
「後ろ暗い奴は皆そう言うんだよ!」
「だって本当なんだから仕方ないだろ!?」
「あっそう! だいたいその後ろの奴はなんなんだい!顔も見せずに!」
「こいつは!」
 体が弱くて! と竜二郎が言おうとしたときに、低いバリトンが辺りに響いた。
「いいよ、竜」
 竜二郎の後ろに立っていた雪花が一歩前に出て、深く被っていたフードを外す。
 現れたのは、儚げな印象すら残す、整いすぎた顔立ちだった。
 思わず村人たちがその顔に見入る。
 一瞬とも永遠とも取れない静寂があたりを支配して、村人の一人がようやく声を落とした。
「あ、あの、あなた、は…?」
「雪花、と「お前は喋るな、ユキ」
 ただでさえ病気で喉がやられてるのに、と竜二郎が言う。
 これが村人達へのダメ押しになったらしい。
「こいつは聞いての通り、とある病気で喉をやられているんだ。
 今晩だけでいい、この村で休ませてくれないか。
 これ以上こんな雪山で野宿をしたら、こいつがどうなるか…」
「あ、ああ、結構じゃよ…どうぞ入りなされ、旅人さんよ…」
 今度はあっさりと村に入ることができた。

 村に一件だけあった民宿の部屋で、夜を迎えながら竜二郎は言った。
「いやー、病気作戦は上手く行ったな。」
「………」
 雪花が頷く。
「お前は見た目と声がアンバランスなんだよなぁ…初対面の奴は大概風邪引いてると勘違いするし。」
「………」
「今度からこれで行くか、ユキ」
 雪花が頷いた。

  *  *  *  *  *  *

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