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小説置き場。
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浮遊諸島編・浮遊諸島に着いた直後
浮遊諸島の人の公用語はアヴィスたちで言うところの「古代語」なわけでして、言葉が一切通じておりません。




「ちょっとやばくないか?」
 とりあえず抵抗の意思が無いことを示すために両手を上に挙げながら、アヴィスは言った。
 そもそも、このポーズは世界共通なんだろうか。
 これでもしも「何か魔法でも使おうとしている」と誤解されれば、折角ここまでもった命の存続がいよいよ怪しくなってくる。
「私みたいな老人がいるのに乱暴を働いたりはしないでしょうよ」
 アヴィスと同じく両手を挙げながら、のほほんとフィレスは言った。
 口調は穏やかなものだったが、腕がプルプルと震えてきている。
「でも、この体勢はしんどいねぇ」
「…婆さん、手ぇ下ろしてもいいぞ」
「こんなところでお迎えが来るよりかは、私はしんどいほうがいい」
 そうか、とアヴィスは言って、自分より随分下のほうにある理奈の顔を見やった。
 ギュっと目をつぶって顔が強ばっている。
「理奈」
 理奈の顔が上がった。恐怖でいつもの無表情に拍車がかかっている。
 それもそうだろう。まだ十にも満たない子供が、自分の命が奪われそうになって恐ろしくないわけが無いのだ。
 アヴィスは少し笑みを浮かべて、理奈の空色の瞳を見つめた。
「さっきのは冗談だ。大丈夫、なんとかなる」
 な? と言うと、理奈の顔の強張りが少しだけ緩んだ。理奈がコクン、と頷く。

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