小説置き場。
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なんだって、子供をあやすのってこんなに難しいんだろう。
「わーほら、泣くなって、おい、頼むから!」
ついこの間生まれた、オレの妹。母さんが抱いているところをじっと見ていたら、母さんがオレにも抱かせてくれた。そしたら、この様だ。
オレはお前の兄だぞ? お前の家族だぞ?
なのに何で泣くんだ。
むしろオレまで泣きたくなってしまったが、母さんが妹に苦戦しているオレを見て笑うので、そういうわけにもいかない。大体、そんなの情けなすぎるだろう。
母さんが、ほら返して、と言うからオレは渋々それに従った。母さんに抱かれると妹はピタリと泣き止む。その光景を見ながらオレは誓った。今度絶対リベンジしてやる。
妹にはまだ名前が無い。母さんと父さんがまだ姓名判断の本とにらめっこをしながらああだこうだと言っている。オレはその名前が妙なものにならないように軌道修正する役目だ。というか、いい加減決めないと役所などでの手続きが大変だと思うのだが。
そして妹は正直言ってブサイクだ。顔はぶくぶくだし、唇もたこのように膨れている。そう正直に母さんに言ったところ、母さんはやっぱり笑った。赤ちゃんの顔なんて皆そんなものよ、だそうだ。オレも?と聞いたら、もちろんと返ってきた。なんだか複雑だ。
今度は父さんが妹を抱き上げた。高い高いをしようとして母さんに怒られている。そのときに妹が声を立てて笑ったので、オレと父さんと母さんは顔を見合わせて笑った。
ああ、今日はなんという幸せな日なんだろう。
オレは昨日と同じことを考えていた。
(071112)
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