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小説置き場。
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 分かってる。彼が好きなのは私じゃあないって。

 聞いてほしい話があるんだ、と学校帰りにゴールドが私を駅前のファーストフード店に連れ込んで。フライドポテトを五本まとめて口の中に放り込んだゴールドが「引くなよ? お前だから言うんだからな」と口を開いたとき、嫌な予感しかしなかった。
「俺さ、シルバーが好きなんだよ」
 ほうら、やっぱり。
 私が気づいていないと思っていたの? 他の誰よりも私はあなたを見ていたわ。それだけはシルバーにも負けない。幼馴染だったのだもの。それこそ幼稚園の頃から、ずーっと一緒。近くにいすぎてもう他の男の子のようにあなたを見ることはできないけれど、それでも私の中の「一番」はずっとあなた。それだけは断言できるの。なのに、『シルバー"が"』だなんてあんまりだわ。まるで他は好きじゃない、って言ってるみたい。
「それを私に言ってどうする気なのよ」
「驚かねーんだな」
「見てればわかるわよ、そんなこと」
 当たり前のことを言ってあげると、ゴールドはしばらく瞬きを繰り返してから鼻を掻いてへへっ、と笑った。ゴールドが鼻を掻くのは嬉しいけど、嬉しいと言うのがちょっと恥ずかしい時。要するに照れた時。話が進まない。私は軽くため息を落とした。
「で、何なの? また協力しろって?」
「まぁそーゆーことになるんだけどよ、でもよぉ……」
「はっきり喋りなさいよ」
 ああ、いらいらしてる。ゴールドの恋愛相談を受けるのはいつものこと。フられたゴールドを慰めるのもいつものこと。いつもだったら何でもないことなのに、今日はこんなにいらいらするのはどうしてなのかしら。
「クリス。なんかお前、今日機嫌悪くねぇ?」
「御名答」
「何かあったか?」
 そこで自分が原因、とは露ほどにも考えないのがいかにもゴールドらしい。
「特に何も」
「生理中?」
「……あんたって本当にデリカシーないわねぇ。違うわよ」
 本当に、どうしてこんなにいらいらするのかしら。ただゴールドが『シルバーが好き』と言っただけだったのに。


 *

 クリスのイライラの原因は嫉妬ではなくて、今まで自分とゴールドだけで完結していた世界にシルバーが入ってきそうだという環境の変化への不安がイライラになっただけです。……これ補完しないと意味不明かなぁ。

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