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小説置き場。
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「シルバー、久しぶりじゃん。お前何処行ってたの?」
「こいつらを集めにな」
 そう言ってじゃらり、と音を立てて地面に撒いたのは……
「ジムバッジ?」
「あった方が収入が増えるんだろ?」
 まぁ、間違ってはいない。ジムバッジを集められるほどの強いトレーナーには相応の報酬が与えられるし、いい仕事も回ってくる。というか……
(俺がポケモン協会関係者なら絶対放っておかねえよ)
 シルバーが姿を見せなくなってから数日しかたっていない。それだけの短期間でジョウト・カントーのジムバッジを集めてしまったのだ。今までは公式戦の記録が無かったから見逃されていただけで、非公式戦だろうがワタルに勝つ実力を持つトレーナーだと知られればどうなることやら。
「これからよろしくな、シルバー」
「はぁ?」
「お前にゃあ大量の『仕事』が回ってくるだろうよ。多分俺と組まされるだろ」
「『仕事』って……貴様ら人外と一緒にするな!」
「ワタルに勝っちまう時点で人外認定されるよ、お前は……まぁ諦めろ、こんな短期間でバッジを集めただけでお前絶対に協会の目に止まるから」
「なんとかしろよ」
「俺もワタルも結構悩んでたんだぜ? お前をどうやってこっち側へ引きずりこむか、って。公式戦が一回も無いようなトレーナーじゃあ待遇も上げようがないし。お前から飛び込んでくれて嬉しいよ、俺は」
「オレは全然嬉しくねぇ!!」
「心配すんな、ぜってー逃がさねぇから」


 *


「くそっ! 全力を出してもオレは……お前に勝てないのかよ!!」
 その目の端に光るものが見えたから、俺は黙ってその横を通り過ぎる。泣き顔なんて誰にも見られたくないだろ、なぁシルバー。
 だけどお前は一つ勘違いをしている。俺はいつだって全力だった。強さこそが全てだなんて、そんなふざけた事言うような奴に負けるような真似は絶対にできなかった。
「お前が負けたのは……」
 足を止める。
 この言葉であいつに伝わるわけがないと、分かっているけれど。
「ただ単に、お前よりも俺の方が強かったからだ」
 お前は弱くなんかないよ、シルバー。

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