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小説置き場。
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「ねえさん……触れても、いい?」
「もちろん」
 おずおずと伸ばされた手がブルーの頬に触れる。それからシルバーはブルーの頬を輪郭を確かめるように、ゆっくりと撫でていった。壊れ物を扱うかのような慎重さに、シルバーがらしくなく緊張しているのがわかる。それにつられて自分も緊張している事にブルーは気付いていた。
「なんだか照れるわね」
 らしくない自分を取り繕うための言葉は、口にすればもっと恥ずかしくなった。ブルーの頬が朱に染まる。少しずつ言葉の意味を理解したのか、少し遅れてじわじわとシルバーの頬も赤くなっていく。お互いに真っ赤になって向き合っている現状がおかしくてブルーが吹き出した。自分の発言一つでここまで反応があるシルバーが可愛くて仕方がない。たまらなくなってブルーがシルバーに抱きついた。
「なっ、ねえさん!?」
 一拍遅れて、シルバーが急接近してきたブルーから身を仰け反らせる。その首筋にブルーは顎を乗せた。
「嫌よ、『ねえさん』なんて」
 意図せずにこぼれた少し拗ねた響きに、シルバーが今度は慌ててブルーの顔を覗きこむ。ブルーはその銀色の瞳を見つめた。
「名前で呼んで、シルバー」
 シルバーの息が止まった。唾をごくりと飲み下し、それからも数瞬の間を置いて、ようやく意を決したシルバーが薄い唇を開く。
「ブルー」
 その響きは、存外に、優しかった。
 ただただ愛おしいのだと、シルバーのその想いが伝わってくる。本当に愛されているのだとようやくブルーは心で理解した。視界が滲む。
「ね、ねえ……ブルー? やっぱり、嫌だった?」
「違う。違うのシルバー」
 声までもが涙で濡れる。シルバーの肩口に顔をうずめてブルーが言う。嬉しいの。
「あなたに名前で呼んでもらえて、すごく嬉しいのよ、シルバー」
 真っ直ぐに銀色の瞳を見つめて告げる。ブルー、と思わず零したシルバーが顔を近づけてくるのに合わせて、ブルーは目を瞑った。

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