小説置き場。
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シチユウ地方の東側の森林地帯。その上空に、一匹のポケモンと二人の人間の姿。
「ほんとにこっちなんやろね、ルビー!」
「そのはずだよ、RURUはこっちだって感じてる」
トロピウスの背に跨がったサファイアが前を向いたまま後ろのルビーに問いかける。横座りでトロピウスに腰掛けたルビーは体を倒して眼下の森を眺めていた。ラルトスを憑依させたことで得た千里眼が探し人の気配を捉える。
「あ、近い。……ところでサファイア、君はどこに降りるつもりなんだい?」
トロピウスの巨体が着地できそうな広い空間は見当たらない。無理にでも降下しようとすると幹が突き刺さるか、そうでなくても確実に枝を折ってしまうだろう。
「なに言っとうと? とろろは無理でも、あたしたちはどこにでも降りれるやないの」
「まさか、飛び降りるつもり!?」
体を跳ね起こしたルビーに、漸くサファイアが振り返って呆れた視線を送る。
「ルビー、あんたはRURUの念力があるやろ?」
確かに、今ルビーが横座りという不安定な姿勢でトロピウスに乗れているのは憑依しているラルトスのおかげだ。憑依無しでトロピウスを乗りこなして飛び降りるつもりのサファイアにルビーが返せる言葉は無かった。
ルビーを言いくるめた事を悟ったサファイアが再び前を向きなおす。
「それで、ゴールドさんはどの辺ったい?」
「……10時と11時の間くらい」
「了解。頼むったい、とろろ」
サファイアの声に高く鳴いて答えたトロピウスが、ゆっくりと進行方向を変えた。
*
最初に気付いたのはシルバーだった。獣道を掻き分ける手を止めて空を見上げる。それにつられてクリスも足を止めた。木々の隙間から晴れ渡った空が覗く。
「どうしたの、シルバー?」
クリスの問いかけには答えずに、ただシルバーはじっと空を睨みつける。葉の隙間から差し込む日差しが汗に反射して光り、風とも呼べない空気の動きが木々を僅かにざわめかせた。
そうして、『それ』は来た。
空が、陰る。
「な、に……あれ」
「大型のポケモンが飛行しているな。あまり聞かない鳴き声だ」
絶句したクリスに普段通りの抑揚の無い声が答える。長大な陰を落としながら、ゆっくりと『それ』は二人を追い抜いていく。
「早く戻ろう、クリス」
シルバーの声にクリスは一つ頷いた。両手で抱え持った薬草類を強く、抱きしめる。
「ゴールド、今行くからね……!」
*
トロピウスは可能な限り低空で飛行していた。速度も極力落としている。サファイアがトロピウスの背に危なげなく立ちあがった。本当にどんな身体能力をしているんだ、とルビーは感心を通り越して呆れた。憑依も何も無い状態でサファイアより高い身体能力を持つ人間なんていないのではなかろうか。
それでも、危ないのに変わりはない。
「サファイア。せめてアチャモでも憑依させたら?」
「大丈夫やよ。今までだって問題なかと。あんたこそ、どうなんよ」
「僕は君の言った通り、RURUの念力に助けてもらうよ。だから、」
ルビーがサファイアに手を伸ばす。
「この手は何ね?」
「一緒に降りよう。じゃないと、僕は不安で仕方がない」
サファイアなら本当に怪我もなく降りられるだろうとはルビーも思っていた。それでも、危険だという思いがルビーを不安に駆り立てる。手さえ繋がっていればサファイアもラルトスの念力の恩恵に与れる。サファイアが一つため息をついた。
「仕方がなかと」
サファイアがルビーの手を掴む。
「それじゃあ、行くったい」
「うん」
サファイアがトロピウスの背を蹴る。同時にルビーも背から降りた。
木と木の間、下草が見えている僅かな隙間に二人は吸い込まれていった。
「RURU!」
轟風が吹き付けてくる中、不意に体が軽くなる。そしてゆっくりと二人は着地した。拍子抜けするくらい、簡単に。
ルビーがサファイアの顔を覗き込む。
「怪我はない?」
「なかと」
サファイアがルビーの手を振り払う。
「さ、ゴールドさんのところに行くんやろ?」
はよいこ、とサファイアがルビーを急かす。
シルバー→ワニノコ・ニューラ・ヤミカラス
ゴールド→バクたろう・ピチュ・エーたろう
クリス →メガぴょん・パラぴょん・ウィンぴょん
サファイア→ちゃも・どらら・とろろ
ルビー→ZUZU・NANA・RURU
多分こんな感じ。ラルドどうしようかなぁ
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