小説置き場。
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「こんにちは。柏木和也さんですね?」
「はい」
「僕は高等部の風紀委員長の才賀律です。編入生である柏木くんの案内係なので、よくわからないことがあれば聞いてくださいね。まずは、理事長に挨拶に行きましょうか」
「あ、よろしくお願いします」
「ちなみに僕も一年です」
「え、そうなの」
「と、言うことで敬語はなし! ってことでいいかな?」
「うん、その方が嬉しい。っていうか、一年なのに委員長なの?」
「そうそう。中等部でもやってたからね」
「ふーん?」
「本当は、あともう一人案内係がいるんだけど……多分、柏木くんが理事長と話してる間にでも来るよ」
「どんな人?」
「生徒会長。こっちは三年だよ」
「こんな事もするんだ、生徒会長って」
「そりゃ、生徒の顔も知らずに会長はできないでしょ。ま、編入生はトラブルに巻き込まれやすいから、先に人となりを把握しておこう、ってやつだよ。」
「何それ」
「あー、気悪くしないでね。この学園、全寮制って事もあって結構閉鎖的だから、編入生に皆興味津々で。江戸時代の外国人みたいな感じ?」
「ぷっ……何その例え。あー、うん、だからこんなに手厚い対応なんだ」
「手厚い……の?」
「僕の中学には転入生の相手をする係なんてなかったからそう思ったんだけど……ま、いいや。そういえば、今年って編入生は何人だったの?」
「柏木くんを入れて三人。他の二人は昨日とか一昨日に案内したから、柏木くんが最後だね」
「それはそれは、お疲れ様です」
「いえいえ。楽しんでますよ、っと、着いた。理事長室だよ」
*
「……来ないね」
「うん」
「確認入れるね? ちょっと待ってて」
「はーい」
『もしもし、あ、修? あのさ、会長に連絡行ってる? 柏木くん来たんだけど。――え、仕事があるからちょっと待てって? もう待てないから今すぐ飛ばしてもらえるかな? あ、場所は本部棟の理事長室の前で。よろしく』
「邪魔しちゃってるのかな」
「そんなことないよ、本来なら編入生の応対は生徒会の仕事なんだから。そもそも柏木くんは能力者じゃないから、本来は風紀が出る必要も無いしね」
「わざわざありがとうございます。それにしても、『能力者』か……理事長から伺ったんだけど、才賀くんもそうなんだって?」
「まーね! 僕は能力の気配を察知できるんだ。相手の能力とか、能力者の居場所とか、能力がどこで使われたかとか、そういうのが分かる、地味な能力だよ」
「自分で言うんだ、地味って」
「だって地味だから。あ、でもそろそろ派手なのが見れるよ。ちょっと待ってて」
「? ………………うわぁっ!!?」
「おー、いいリアクション」
「……お前が編入生か」
「あ、はい」
「生徒会長の佐渡匡平だ。理事長への挨拶はすんだんだよな? んじゃとっとと行くぞ」
「せんぱーい、誰のせいで僕らは待ちぼうけをくらったんでしょーか?」
「うるせぇっ、律!」
「書類仕事なんて燕堂先輩にお願いすればよかったじゃないですか」
「あいつはバカ介とフけやがった」
「鷺先輩……はダメですね」
「ああ。鈴木に押し付けた」
「……鈴木先輩、可哀相に」
「バカ太郎といい、あいつはそういう役回りだろ。……で、何にやにやしてんだ、編入生」
「いえ。仲がいいんだなー、と思いまして」
「俺と律か?」
「はい」
「初等部から一緒だからねー。えっと、今年で十年目でしたっけ?」
「そうだろうな」
「編入生が目立つ、の意味が少し分かった気がします。ところで会長」
「何だ」
「僕の名前は柏木和也です」
「……書類で見て知っている」
「いえ、自己紹介がまだでしたので。ご迷惑をおかけするかと思いますが、よろしくお願いします」
「迷惑をかけられるのが『生徒会』の仕事だ。何かあれば俺でも俺以外の役員でも、誰でもいいから連絡してくれ。何とかする」
「能力関連の事だったら風紀もよろしくね!」
「ありがとうございます」
「いえいえ。あ、そうだ。佐渡先輩の能力見せてあげましょうよ」
「……俺の能力は見せ物じゃないんだが?」
「僕が許可します。さ!」
「……はぁ。俺の能力は五行のうちの、水だ。精々雨よけになったり、水面を歩けるくらいの能力だな。……洗濯物もすぐ乾くか」
「わぁ……すごい……綺麗ですね!」
「その気になれば脱水で人を殺せるだろうけどな」
「え」
「その辺は風紀が責任持って管理してるから、心配しないで。ただ、危険でもあるんだ、ということは忘れないでね」
「能力について無知な編入生を能力で脅す、といった事件は過去に何度も学園で起きている。六月頃までは風紀の護衛がつくが、これはそういった事件からお前を守るためでもある。何かと行動を制限されて鬱陶しいとは思うが、堪えてくれ」
「護衛、ですか……すごいですね」
「二ヶ月くらいは寮の同室者が金魚のフンの如く付き纏う、ってだけの話だから! ちなみに柏木くんは僕だね」
「あ? お前だったのか」
「佐渡先輩……仕事してます?」
「うっせえよ」
「えーと、つまり才賀くんが僕の同室者、という事?」
「そうそう! 飲み込み早いね、柏木くん!」
「つーわけで、まずは寮だ。荷物を置いたら生徒会に面通しをして、解散。寮則なんかは律に聞いとけや。同室なら時間あんだろ。校舎の構造については他の生徒も初めてだから特に案内はしない。一緒に迷え」
「ではしゅっぱーつ!」
「……もうしてるよね?」
「はい」
*
「あ、思ってたよりも普通だ、部屋」
「こんな山奥だもんだから、施設維持に金が取られるんだよ」
「それにしてももうちょっと部屋にお金回してくれてもいいと思いますけど」
「理事会の資料によると後はセキュリティに消えてるらしい。ま、今度要望として伝えておくか。つっても、そもそもは生徒が勝手に改造するからなんだけどな……」
「ふう……」
「ちょっと疲れたね。休憩しませんか、先輩」
「……そうすっか。茶、どこだ」
「えーっと、多分その戸棚の右の方……だったような……気がします」
「……何でもかんでも修にやらせんなよ」
「うう……だって、修のお茶美味しいし……」
「確かにてめぇのはまずいがな。柏木、紅茶でいいか?」
「あ、はい」
「先輩、そういえばティーカップが足りない気がします」
「お前は湯飲みでいいだろ。律、茶請けは?」
「クッキーが残ってます。出しますね」
「えっと、僕は……」
「ごめん、そのテーブルの上のもの、下ろしておいてもらえるかな」
「うん」
*
「うん、結構美味しいです」
「まずくは無いだろうよ」
「あれ? 柏木くん、もしかして紅茶苦手とか?」
「いや、そうじゃなくて……熱いのが……」
「猫舌か」
「はい……」
「火傷しないようにね。クッキー食べてればいいよ。おいしいよ、これ」
「そうする。ありがとう」
「飲んだら出るからな。電話してくる」
「あ、はい」
「生徒会役員さんとの面会にはどういう意味があるの?」
「うーんと、どっちかって言うと編入生の顔を知っておきたい、っていう向こうの都合だと思うよ」
*
「今日で最後だ」
「こんにちは。今日から何かとお世話になります、編入生の柏木和也です。よろしくお願いします」
「あんまり多くても困るだろうから役員だけ呼んでる……一匹オマケがいるが」
「副会長の、燕堂静だ」
「おれは会計の鈴木幸二。よろしくな」
「俺は吉崎蓮太朗だ」
「はい、オレっちは生徒会補佐の東良介! お前と一緒で高校からの編入生なんだぜ! 困った事あったら相談、のるからな!」
「やめといた方がいいよ、東に相談しても何の解決もならないから」
「なんでだよー! 蓮太ー!」
「まぁ、誰が見てもそう思うよな……」
「静センパーイ、蓮太とこーじがオレをいじめるぅ……!」
「自業自得だろう。それから離れろ」
「……お前らな、内輪で話すなよ。んじゃ質問たーいむ。何かあるか」
「ハイッ」
「どうぞ、バカ介」
「柏木は匡先輩静先輩にこーじと蓮太、誰推しだ?」
「「「「はぁ……」」」」
「だ、誰推しって、どういうことですか……?」
「付き合うなら誰、ってハナシ」
「…………強いて言うなら、」
「言うなら?」
「燕堂先輩ですかね」
「……俺か?」
「……その心意気は?」
「単に、一番付き合いが長い幼なじみと雰囲気が似てるからですよ」
「つーことは厳密には付き合うならその幼なじみと、って事だな?」
「そりゃ、まだ初対面ですから」
「『まだ』、か……オレは(オレの)静先輩をお前に渡したりなんかしないんだからな!」
「は?」
「……良介。いつ、誰が誰の所有物になった」
「燕堂先輩、多分ツッコミ所が違うと思います……」
「バカップルって、手に負えないよな……」
「……なんとなく事情を察しました。お疲れ様です」
「そいつも鈴木とくっついてるがな」
「佐渡先輩!」
「あの、一つお伺いしたいのですが……」
「?」
「学園内で付き合ってる人もいるんでしょうか?」
「うんざりするほどいる」
「ちゅーがっこーから男しか見てないと感覚おかしくなるんだってさ!」
「お前もその一人だろ」
「違うし! オレは男が好きなんじゃなくて好きになった人がたまたま男だったの! 全然違う!! ゲイビ見てもオレは勃たnほげっ」
「下品な事言うなっ!」
「完全なゲイ、となると少ないと思うけどほとんどがバイだと思うよ。性別とかどうでもよくなってくるしね……」
「あれ、蓮太朗はノンケじゃなかったのか?」
「誰のせいだと思ってるんだよ!」
「……さて、そんじゃあそろそろ柏木は戻れ。んじゃ鈴木、送ってやってくれ」
「はい、わかりました」
*
「随分、目立ってますね……」
「ああ、そりゃ俺だけだからな。この学園でモノを言うのは顔と家柄と能力だ。『様』付けで呼ばれてる奴と付き合うときは身の回りに注意しろよ」
「闇討ちでもされそうな言い方ですね」
「されるから言ってるんだ。下手に金持ち連中が多いからな、金を使えば揉み消せると思ってリンチだのレイプだの仕掛けてくる奴もいる。嫉妬に狂った男は女よりも恐ろしいぞ、多分」
「多分、ですか」
「多分、だ。それほど女の子を知ってるわけじゃあないからな……」
「わかりました」
「しばらくは一人にならないようにするようにな。護衛の言うことにはちゃんと従うこと。とはいえ、護衛が買収される場合もあるからな……。まずは、信用できる友達を作っておくんだな。生徒会はそれまでのサポートだと思ってほしい。個人的に親しくしてくれるのは歓迎だけどな」
「ありがとうございます」
*
「はい」
「僕は高等部の風紀委員長の才賀律です。編入生である柏木くんの案内係なので、よくわからないことがあれば聞いてくださいね。まずは、理事長に挨拶に行きましょうか」
「あ、よろしくお願いします」
「ちなみに僕も一年です」
「え、そうなの」
「と、言うことで敬語はなし! ってことでいいかな?」
「うん、その方が嬉しい。っていうか、一年なのに委員長なの?」
「そうそう。中等部でもやってたからね」
「ふーん?」
「本当は、あともう一人案内係がいるんだけど……多分、柏木くんが理事長と話してる間にでも来るよ」
「どんな人?」
「生徒会長。こっちは三年だよ」
「こんな事もするんだ、生徒会長って」
「そりゃ、生徒の顔も知らずに会長はできないでしょ。ま、編入生はトラブルに巻き込まれやすいから、先に人となりを把握しておこう、ってやつだよ。」
「何それ」
「あー、気悪くしないでね。この学園、全寮制って事もあって結構閉鎖的だから、編入生に皆興味津々で。江戸時代の外国人みたいな感じ?」
「ぷっ……何その例え。あー、うん、だからこんなに手厚い対応なんだ」
「手厚い……の?」
「僕の中学には転入生の相手をする係なんてなかったからそう思ったんだけど……ま、いいや。そういえば、今年って編入生は何人だったの?」
「柏木くんを入れて三人。他の二人は昨日とか一昨日に案内したから、柏木くんが最後だね」
「それはそれは、お疲れ様です」
「いえいえ。楽しんでますよ、っと、着いた。理事長室だよ」
*
「……来ないね」
「うん」
「確認入れるね? ちょっと待ってて」
「はーい」
『もしもし、あ、修? あのさ、会長に連絡行ってる? 柏木くん来たんだけど。――え、仕事があるからちょっと待てって? もう待てないから今すぐ飛ばしてもらえるかな? あ、場所は本部棟の理事長室の前で。よろしく』
「邪魔しちゃってるのかな」
「そんなことないよ、本来なら編入生の応対は生徒会の仕事なんだから。そもそも柏木くんは能力者じゃないから、本来は風紀が出る必要も無いしね」
「わざわざありがとうございます。それにしても、『能力者』か……理事長から伺ったんだけど、才賀くんもそうなんだって?」
「まーね! 僕は能力の気配を察知できるんだ。相手の能力とか、能力者の居場所とか、能力がどこで使われたかとか、そういうのが分かる、地味な能力だよ」
「自分で言うんだ、地味って」
「だって地味だから。あ、でもそろそろ派手なのが見れるよ。ちょっと待ってて」
「? ………………うわぁっ!!?」
「おー、いいリアクション」
「……お前が編入生か」
「あ、はい」
「生徒会長の佐渡匡平だ。理事長への挨拶はすんだんだよな? んじゃとっとと行くぞ」
「せんぱーい、誰のせいで僕らは待ちぼうけをくらったんでしょーか?」
「うるせぇっ、律!」
「書類仕事なんて燕堂先輩にお願いすればよかったじゃないですか」
「あいつはバカ介とフけやがった」
「鷺先輩……はダメですね」
「ああ。鈴木に押し付けた」
「……鈴木先輩、可哀相に」
「バカ太郎といい、あいつはそういう役回りだろ。……で、何にやにやしてんだ、編入生」
「いえ。仲がいいんだなー、と思いまして」
「俺と律か?」
「はい」
「初等部から一緒だからねー。えっと、今年で十年目でしたっけ?」
「そうだろうな」
「編入生が目立つ、の意味が少し分かった気がします。ところで会長」
「何だ」
「僕の名前は柏木和也です」
「……書類で見て知っている」
「いえ、自己紹介がまだでしたので。ご迷惑をおかけするかと思いますが、よろしくお願いします」
「迷惑をかけられるのが『生徒会』の仕事だ。何かあれば俺でも俺以外の役員でも、誰でもいいから連絡してくれ。何とかする」
「能力関連の事だったら風紀もよろしくね!」
「ありがとうございます」
「いえいえ。あ、そうだ。佐渡先輩の能力見せてあげましょうよ」
「……俺の能力は見せ物じゃないんだが?」
「僕が許可します。さ!」
「……はぁ。俺の能力は五行のうちの、水だ。精々雨よけになったり、水面を歩けるくらいの能力だな。……洗濯物もすぐ乾くか」
「わぁ……すごい……綺麗ですね!」
「その気になれば脱水で人を殺せるだろうけどな」
「え」
「その辺は風紀が責任持って管理してるから、心配しないで。ただ、危険でもあるんだ、ということは忘れないでね」
「能力について無知な編入生を能力で脅す、といった事件は過去に何度も学園で起きている。六月頃までは風紀の護衛がつくが、これはそういった事件からお前を守るためでもある。何かと行動を制限されて鬱陶しいとは思うが、堪えてくれ」
「護衛、ですか……すごいですね」
「二ヶ月くらいは寮の同室者が金魚のフンの如く付き纏う、ってだけの話だから! ちなみに柏木くんは僕だね」
「あ? お前だったのか」
「佐渡先輩……仕事してます?」
「うっせえよ」
「えーと、つまり才賀くんが僕の同室者、という事?」
「そうそう! 飲み込み早いね、柏木くん!」
「つーわけで、まずは寮だ。荷物を置いたら生徒会に面通しをして、解散。寮則なんかは律に聞いとけや。同室なら時間あんだろ。校舎の構造については他の生徒も初めてだから特に案内はしない。一緒に迷え」
「ではしゅっぱーつ!」
「……もうしてるよね?」
「はい」
*
「あ、思ってたよりも普通だ、部屋」
「こんな山奥だもんだから、施設維持に金が取られるんだよ」
「それにしてももうちょっと部屋にお金回してくれてもいいと思いますけど」
「理事会の資料によると後はセキュリティに消えてるらしい。ま、今度要望として伝えておくか。つっても、そもそもは生徒が勝手に改造するからなんだけどな……」
「ふう……」
「ちょっと疲れたね。休憩しませんか、先輩」
「……そうすっか。茶、どこだ」
「えーっと、多分その戸棚の右の方……だったような……気がします」
「……何でもかんでも修にやらせんなよ」
「うう……だって、修のお茶美味しいし……」
「確かにてめぇのはまずいがな。柏木、紅茶でいいか?」
「あ、はい」
「先輩、そういえばティーカップが足りない気がします」
「お前は湯飲みでいいだろ。律、茶請けは?」
「クッキーが残ってます。出しますね」
「えっと、僕は……」
「ごめん、そのテーブルの上のもの、下ろしておいてもらえるかな」
「うん」
*
「うん、結構美味しいです」
「まずくは無いだろうよ」
「あれ? 柏木くん、もしかして紅茶苦手とか?」
「いや、そうじゃなくて……熱いのが……」
「猫舌か」
「はい……」
「火傷しないようにね。クッキー食べてればいいよ。おいしいよ、これ」
「そうする。ありがとう」
「飲んだら出るからな。電話してくる」
「あ、はい」
「生徒会役員さんとの面会にはどういう意味があるの?」
「うーんと、どっちかって言うと編入生の顔を知っておきたい、っていう向こうの都合だと思うよ」
*
「今日で最後だ」
「こんにちは。今日から何かとお世話になります、編入生の柏木和也です。よろしくお願いします」
「あんまり多くても困るだろうから役員だけ呼んでる……一匹オマケがいるが」
「副会長の、燕堂静だ」
「おれは会計の鈴木幸二。よろしくな」
「俺は吉崎蓮太朗だ」
「はい、オレっちは生徒会補佐の東良介! お前と一緒で高校からの編入生なんだぜ! 困った事あったら相談、のるからな!」
「やめといた方がいいよ、東に相談しても何の解決もならないから」
「なんでだよー! 蓮太ー!」
「まぁ、誰が見てもそう思うよな……」
「静センパーイ、蓮太とこーじがオレをいじめるぅ……!」
「自業自得だろう。それから離れろ」
「……お前らな、内輪で話すなよ。んじゃ質問たーいむ。何かあるか」
「ハイッ」
「どうぞ、バカ介」
「柏木は匡先輩静先輩にこーじと蓮太、誰推しだ?」
「「「「はぁ……」」」」
「だ、誰推しって、どういうことですか……?」
「付き合うなら誰、ってハナシ」
「…………強いて言うなら、」
「言うなら?」
「燕堂先輩ですかね」
「……俺か?」
「……その心意気は?」
「単に、一番付き合いが長い幼なじみと雰囲気が似てるからですよ」
「つーことは厳密には付き合うならその幼なじみと、って事だな?」
「そりゃ、まだ初対面ですから」
「『まだ』、か……オレは(オレの)静先輩をお前に渡したりなんかしないんだからな!」
「は?」
「……良介。いつ、誰が誰の所有物になった」
「燕堂先輩、多分ツッコミ所が違うと思います……」
「バカップルって、手に負えないよな……」
「……なんとなく事情を察しました。お疲れ様です」
「そいつも鈴木とくっついてるがな」
「佐渡先輩!」
「あの、一つお伺いしたいのですが……」
「?」
「学園内で付き合ってる人もいるんでしょうか?」
「うんざりするほどいる」
「ちゅーがっこーから男しか見てないと感覚おかしくなるんだってさ!」
「お前もその一人だろ」
「違うし! オレは男が好きなんじゃなくて好きになった人がたまたま男だったの! 全然違う!! ゲイビ見てもオレは勃たnほげっ」
「下品な事言うなっ!」
「完全なゲイ、となると少ないと思うけどほとんどがバイだと思うよ。性別とかどうでもよくなってくるしね……」
「あれ、蓮太朗はノンケじゃなかったのか?」
「誰のせいだと思ってるんだよ!」
「……さて、そんじゃあそろそろ柏木は戻れ。んじゃ鈴木、送ってやってくれ」
「はい、わかりました」
*
「随分、目立ってますね……」
「ああ、そりゃ俺だけだからな。この学園でモノを言うのは顔と家柄と能力だ。『様』付けで呼ばれてる奴と付き合うときは身の回りに注意しろよ」
「闇討ちでもされそうな言い方ですね」
「されるから言ってるんだ。下手に金持ち連中が多いからな、金を使えば揉み消せると思ってリンチだのレイプだの仕掛けてくる奴もいる。嫉妬に狂った男は女よりも恐ろしいぞ、多分」
「多分、ですか」
「多分、だ。それほど女の子を知ってるわけじゃあないからな……」
「わかりました」
「しばらくは一人にならないようにするようにな。護衛の言うことにはちゃんと従うこと。とはいえ、護衛が買収される場合もあるからな……。まずは、信用できる友達を作っておくんだな。生徒会はそれまでのサポートだと思ってほしい。個人的に親しくしてくれるのは歓迎だけどな」
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