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小説置き場。
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「ルーク様がわがままで私を必要としてくれた事が、本当に嬉しかったのです。だから、」

 ――私はあなたの傲慢さに救われたのです。
 そう言って、フィンは笑う。

「確かにあなたは傲慢でしょう。ですがあなたは、ルーク・フォン・ファブレに相応しくあろうとした、ただそれだけです。そしてその名前に伴う責任を知ったあなたは、逃げ出さずに受け入れたではありませんか」

 *

「俺が、王?」
「それが妥当だろ。なんせ第一・第二王位継承者はお前の両親なんだから。陛下が崩御なさる頃にはお二人とも政権なんて握れる歳じゃないだろ。そうなったら次はお前、当然の成り行きじゃないか」
「はぁ? そりゃねーだろ」
「どういう事だ」
「どう考えたってお前の方が相応しいじゃねーか」
「……それを他でもないお前が言うのか」
「人には向き不向きがあるんだろ。俺には向いてねーよ、王様稼業なんてさ」
「それじゃあ俺が王位を簒奪しても、お前は諾々と従うというのか?」
「んなもんそんな状況になってみなきゃわかんねーだろーが」
「俺は、お前の方が王に相応しいと思うけどな」
「はぁ? ……どこが?」
「お前は優しいから。国の指導者は優しい方がいい。お前にとっては、不幸な事だろうけどな」

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