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小説置き場。
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 ジェイドは思考する。
 たとえ「ルークがパッセージリングを破壊する」ことを阻止できたとしても、いずれ耐用年数の限界に達していたアクゼリュスのパッセージリングは機能を停止する。ならば、いっそのこと「記憶」と同じタイミングでアクゼリュスを魔界に降下させる方がその後のヴァンの動向も先読みしやすくなるのではないか。問題はいかに被害を減らして安全に降下させるか、だ。既にマルクト側からはアクゼリュスに入ることができないため、陛下に鳩を飛ばしてマルクト軍に救援を頼むことはできない。キムラスカに要請するとなるとそれこそ「記憶」と同じ結果を辿る事になる。だからと言ってローレライ教団に救援を要請したところで秘預言を知っているモースとヴァンが指揮権を持っている以上、握りつぶされるだけだろう。アクゼリュスにいる民達は預言に死を詠まれているに違いないのだから。結局は見捨てるしかないのか。それだけは極力回避したい。アクゼリュスの一件がルークに深い傷を与えたのは言うまでもない。アクゼリュスを降下させるにしても、パッセージリングの操作を行えるのは超振動が扱えるルークしかいないのだ。……待て、本当にそうだろうか? 前の記憶があるのなら、前との相違点を利用すればいいのではないだろうか。具体的には、あの子供達。完全同位体だというその言葉を信じるのなら、超振動も引き起こせるはずである。――いいや、だめだ。二人がかりで引き起こす超振動がルークほどの精度で制御できるとは考えられない。ならば、残るはただ一人――アッシュか。今回のアッシュは前回とは様子が違っているのは間違いがない。前回散見されたレプリカに対する憎悪の感情が、どうにも感じられないのだ。だが前回とは違うため、今の彼が何を考えているのかは予測がつかない。それにもし彼が協力してくれることになったとして、アクゼリュスの民を見殺しにさせるのは、どうなのだろうか。どうせなら、手を穢すのは自分だけでいい。パッセージリングを破壊するだけの超振動ならなんとかして譜業で起こせるだろうか。被験者を繋いだフォミクリーでホドを崩落させることはできたが、同じ手段をとるとすると問題はあの時の譜業はサフィールが用意していたということと、被験者が必要だということだ。前者はサフィールに協力を要請することになる。こちらはまぁ、適当に丸めこめば可能だろう。後者は被験者を用意する時点でこの「手を穢すのは自分だけ」という当初の目的から逸れている。それでも可能性を挙げるならば、ホドの時の被験者であったヴァンと血縁関係にあったティアはおそらく適性が高い。他の被験者ならば、マルクトの死刑囚あたりから調達すればいいだろうか。だがサフィールに協力を要請し、譜業を作り上げ、死刑囚から適性のあるものを選別してアクゼリュスに送るという一連の作業には時間がかかりすぎる。アクゼリュスの崩落に間に合わない。ヴァンを始末してアクゼリュス崩落を先延ばしにすることも可能だが、前回ではヴァンの存在がマルクト・キムラスカ間の協力体制を築くきっかけとなったのも確かである。それに今回が始まる前のローレライの言葉も気にかかる。あれは確かに「ヴァンを殺したところで結末は変わらない」と言ってはいなかったか。ヴァンを殺すのは、その場合のこれからの展開の考察を十分に行ってからでいいだろう。そういえば、ローレライはまた妙なことも言っていた。――都合良く異世界からも客人が訪れたから今回の世界に招待している――だったか。異世界からの客人とは何者だ? 前回と違う展開を望むのなら、この「異世界からの客人」に協力してもらうのがおそらく最も簡単な方法だろう。これも推測する必要がある。

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